第20話 正直な話

正直なところ、かりんはたぶん

いつも明るい子だと思われていると思う。

何かがあったとき以外は。

分かりやすい子だと思われていると思う。


でもかりんがいつも眠くても疲れても

明るくしているのには理由がある。


ご主人が嫌われない為。

かりんが嫌われない為。


だってみんな明るい人のが好きやろ?


だからかりんはいつも明るく振る舞う。

嫌われたくないから。


この病気が人の負担になることはわかっているから

せめて嫌われたくないのだ。


ただかりんアホやから素直に出てしまう時もある。

多々あるw


でも本当はかりんは打算的な人間だ。

たぶん本当はあやちゃんより臆病かもしれん。

誰よりも人から嫌われないかを気にしている。


いつもおちゃらけているのは

人を笑わせたり好かれたいからだ。


ご主人が嫌われないように。

かりんが嫌われないように。


自信たっぷりなのはいつも本当は

寂しいから。いつも本当は悲しいから。

いつも本当は抱きしめてほしいから。

いつも本当は愛に触れたいから。

いつも本当は強がりだから。

いつも本当は臆病者だから。


誰か気付いて。

本当のかりんを。


そして助けて。


かりんは助けてと言える人間である。

話まくると落ち着く。


だけどどこかで本当はまだ不安だ。

怯えている。嫌われてるのではないかと。

人を信じきれない。

愛を知らないから。

人はいつか裏切る。

いつかいなくなる。

大人はみな笑顔で嘘をつく。

かりんももちろん嘘をつくから

ついたことない人はいない思う。

だからかりんは見たくない時は顔をみない。

だけど気になってしぐさや顔をみてしまう。

時計を気にしているしぐさ。

かりんを見ている時の目。

少しの微妙な肩の揺らぎ。

足の位置。

行動心理学というものだ。

学ばなければ良かった。

見えてしまうのは苦しい。


愛さんは鉄の心で羨ましい。

どんなしぐさをとられようと気にも留めない。

たぶん、どうせいつか去るのだからと

思っているのかな。


かりんはここでの生活を

少しでも笑顔になるよう過ごしたい。

あやちゃんの方がほんとは強いかもしれない。


かりんは傍観者にはなれない。

いつも何かしていないと存在意義がない気がするから。

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