お仕立て ウエディングドレス その3
「どうぞ」
お姉ちゃんが声をかけると、ゆっくりと扉が開き、メガネ姿のタキシードが入ってきた。息を飲むのが分かる。
「リム、支度出来たみたいだね」
私の義兄になる、カイさんだ。なんでも騎士団の魔法部隊にいるらしい。魔法部隊だからか分からないけど、むさ苦しさ、マッチョさ、全く気配すらない。
…でも騎士団だから、もしかしたらめちゃめちゃ鍛えてるのかも…
「すごく綺麗だよ、リム。」
と言いながら歩いてきて、お姉ちゃんのところにたどり着くまでに、テーブルにぶつかってる。
前言撤回。やっぱりド近眼なのか、ちょっとどんくさいんだよね、鍛えてなさそう。
「カイ、気を付けてね。お願いだから私をエスコートするときに、転んだりしないで?」
くすくす笑いながらお姉ちゃんは椅子から立ち上がり、義兄さんに近づいた。
「メガネがね…まあ、しかたないんだけど。どうにも使いにくいんだよな。…いや、メガネをしていた方が、恥ずかしさ半減するかもしれない。」
メガネを押し下げて、お姉ちゃんの姿を見ると、顔を真っ赤にして急いでメガネを押し上げる。
「リムが綺麗すぎて、正視できないや…」
「なによそれ」
膨れっ面をするお姉ちゃんなんて珍しいー。
バカップルぶりを見ていたら、ツンツンと服を引っ張られた。
「ねえねえ、ここはお暇しとこうよ。準備も終わったしさ」
サラが私の服を引っ張って、促す。
たしかに、こりゃお邪魔だわ。
「お姉ちゃん、カイさん、もうすぐお式ですから、服を乱さないでくださいね」
「リゼちゃん!ちょ、ちょ、いや、それは夜に…」
「…い、いや、恥ずかしい…」
結婚目前なのになに恥ずかしがってんのさ、と思いながら、サラと2人手をふって部屋を出た。
いや、さすがにもう今日の夜何が繰り広げられるのか、知らないほど子供じゃないわよ、私。
お店に来るお客さんから開けっ広げな話を聞くこともあるし。
部屋を出て、サラと教会まで一緒に行くと、ソコで私は親族席でリトの所に。
「リム姉の支度、おわった?」
こそこそ話をして来る。教会だから、話しにくいしね。
ちょうど教会の鐘の音が鳴り響いたので、話す代わりに私は親指たてて、『バッチリ』と合図をする。
お姉ちゃんの支度は万全。ドレスも大丈夫。
それに、お姉ちゃんが幸せになるように、守りを表す亀の刺繍入れたんだから、きっと大丈夫、って私は思って、教会の神父様の方に向き直った。
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