【8】人狼・ぼくは 30首

人狼・ぼくは





作文をいつも「ぼくは、」で書き始める素直なオレはどっか行ったよ




いいことはなんもないけどももいろの花をながめてだましだましだ




信号を待ってるあいだ灰色の壁を見つめる 透けりゃいいじゃん




力こめ丸めた紙が(ゆるせないことだが)元に戻ろうとした




ガムテープ貼られた郵便受けのこと思い出してる橋の中央




なぜオレをブロックするかわからない。わからないのが原因だろう




マーガリンの違いだったら知らねえなマーガリン野郎に訊けばいいだろ!




がんばろう? それは地震のやつですか今それオレに言ったんすかね




一杯の水にうるおう人間を一億倍の水はのみこむ




魔女狩りを一千分の一にして人狼ゲームに人はうるおう




むらびとを殺しオオカミ守りぬく選考会を立ったまま読む




狼の群れにもきっと入れない朝とか昼は人間だから




なぜこんな植物も知らないのかとうすらわらいだ吊るしてみよう




粉は先、液体スープは後入れと知っているからマウントとれる




本当に思ってるかはわからない「ごめんなさい」にイイネやっとく




「芸術のようだ」を敷いて「食べるのがもったいない」を乗せて完成




触れられて倒れのたうち回ってるサッカー選手を見下ろす主審




テキトーにやってんのかと疑って聴いた祭りの笛のひょろりら




坂道でアイス食べてもいいかねえだめかねえもう三十八歳




生きていてごめんなさいと身を守るため言ったんだイイネがついた




昼に寝て夜起きている日に聞いたまったく獣じみてる悲鳴




まばたきとそのつぎにしたまばたきのあいだだけいたとうめいなひと




いきものをすごく怖がるロボットを頭の中で歩かせてみる




空席の前で吊革持って立つあんたの富をオレにくれなよ




ルーレット回して給料決めましょう人生ゲームの子持ちフリーター




行きたくて行ってみたのさ土砂降りの夜の公園 そっちこそ誰




気が利いてるつもりのオレのあいづちが鳴り響いてるまっくろの部屋




眠ってる人にさわると眠ってるなりに自分を守ろうとする




腹をもむ いきなり宇宙空間に放り出されて死ぬ気がすんの




ぼくは、なわ飛びがとく意です。スキップ飛びが、とても楽しかったです。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る