鷹仁 1st アルバム(歌詞置き場)【仁恋し~ひとこいし~】

鷹仁(たかひとし)

track1 ナメクジみたいに生きていたい

 今日も一日の終わりが僕を追ってくる。


 人目に急かされながら、雑踏に迷い込む日々。


 満員電車。埋まるつり革に手を伸ばしても描いた夢など何もつかめやしない。


 人間だからと、秩序正しく踏み場の無い足場を二足歩行の僕ら。


 昔みたいに楽しいことを考えて眠れなくなった枕。


 いっそのことナメクジみたく這うように生きていけたらどんなに幸せだろう。


 歩みはゆっくりだけれど、進みたい方向に少しずつ進んでいけるのかもしれない。


 いっそのこと人目も気にせずただ生きるためだけに生きて行けたならどんなに幸せだろう。


 葉っぱの裏側で雨を凌ぐナメクジのように、曇りの日に感謝できるのかもしれない。


 遠い記憶の中の僕は今よりもっと不器用で、今ここにいる僕は前からずっと不器用だ。


 僕はナメクジ以上に難しいことは分からない。


 僕は人生の初心者なんだっていつも心が叫んでいる。


 僕がこの街を愛せるようになるまで、あとどれくらいかかるのだろう。



 Yeah! Please teach me the important things.


 ――ここで間奏とめっちゃかっこいいギターソロ。


 Yeah! This is a pen & You make me happy!



 今日も一日の終わりが僕を追ってくる。


 指された後ろ指から、セピアの記憶に逃げたくなる日々。


 流行りのレンジャー。おもちゃ売り場に足を伸ばしても乾いた心は踊りもしない。


 変わらぬ毎日に疲れた旅人たち。


 上司の悪口夜の町。


 いっそのことナメクジみたく這うように生きていけたらどんなに幸せだろう。


 日向ではないかもしれないけれど、それでも自分の人生を生きていけるのかもしれない。


 急かす夕暮れに負けないように。夜の向こうで生きていけたらどんなに幸せだろう。


 朝日を待つ喜びを知ることができるのかもしれない。


 僕以外の誰かはきっと大切な人を待っていて、僕みたいな誰かはきっと大切な人の元に帰る。


 僕はナメクジ以上に僕のことを分かっている。


 僕は人生の初心者なんだっていつも心が叫んでいる。


 僕がこの僕を愛せるようになるまで、あとどれくらいかかるのだろう。


 Yeah! Please teach me the important things.


 Yeah! This is a pen & You make me happy!


 ――しめやかなギターの音色でフェードアウト。

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