無能だった俺《ぼく》が死にかけて魔獣の王《ビーストマスター》となった
光山都
『無能』のケモノ
『無能』のケモノ:第一の眷属『ファン』
1話:無能のケモノ
僕の名前は
正直何でこんな名前にしたのか両親の頭を疑うよ。
一度両親に聞いてみた結果は、『私達が獣好きだから』だった。
正直『フザケルナア!!』と思った。
そんなふざけた理由で付けられた子供が外でどんな風に扱われるか考えていないのだ!
実際僕はこんな名前のせいで、周りからは『ケモノぉ?変な名前ぇ!』とか『うわっ!獣臭い奴が来るぞぉ!』とか『うわっ!獣菌触られた!』と色々と言われ、男女問わず苛めの標的にされていた。
そんな日々が続き僕は高校一年となった。
僕の扱いは高校になっても変わらなかった。
班活動や授業の組み分けでは、僕一人にされたりと不遇の扱いだった。
『僕が一体何をしたんだっ!こんな名前のせいで、僕は!なんでこんな扱いをされないといけないんだっ!』
と、日に日に鬱憤が溜まっていた。
そんな不遇な学園生活に、更なる不幸が僕に襲い掛った。
それは此処とは違う世界。
所謂異世界と言うものだった。
小説や物語、テレビとかでよく見るものだった。
僕はちょっと…いや、かなり浮かれていたと思う。期待していたとも言う。
よく小説とかだと、こう言う異世界召喚された人間には何か優遇された力、もしくは不遇でもいずれは凄い力を得られる。
僕も召喚された時はそう思い嬉しかった。
けど……
=====
Name:
BloodType:?
Atk:10
Dfs:10
Spd:10
Mp:10
【Ability】-
【Skill】-
=====
……召喚された僕には『なにもなかった』。
見事に『何も』なかった。
所謂役立たずだった。
この召喚には僕一人でなくクラスの皆もいた。
20人のクラスメイト。
僕を入れて21人が突然呼ばれ見ず知らずの世界に召喚された。
その20人のクラスメイトにはそれぞれに凄い能力、技能を有していた。
『なんだよ、それっ!?なんでここでも他の奴らは優遇されて、僕だけ不遇なままなんだよぉ!』
そんな風に憤る僕に、今回僕達を呼んだ国の王様は最悪にして残酷な宣告を受けた。
『我が呼んだのは魔族を屠る力を持つ勇者だ!何もない役立たずなど不要だァ!即刻この【無能】をこの国から追放するのだァ!』
『ふざけるなよ、勝手呼んだくせに、なんでこんな扱いされないといけないんだァ!』と思うも、僕は…何も『ない』僕は武器を持った鎧を着た男2人に抵抗する事も出来ず、まるでゴミを見るような目をされながら追い出された。
僕が追放される際、クラスの皆は誰一人として庇護してくれなかった。むしろ笑っている者が殆どだった。
連れて行かれる時に1人の少女の姿が映ったが、僕と目が合うと顔を背けられた。
僕は1人、何もない僕は目の前の国に戻る事も出来ず、盛大な未開の地を彷徨う事なった。
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