1-61.61話「アノー号を奪回せよ」

 10話で松崎健一が登場させたブラスター・バックとレッド・ノーズ。今回はこの二人の活躍回である。そしてマドクター側にも大きな転機が訪れる。それでは見ていこう。


61話「アノー号を奪回せよ」 1980年11月30日


 脚本     :松崎健一

 演出     :紀裕行

 作画監督   :村中博美


あらすじ


 「竜馬は偉大な男だった。サントーレ同盟を作り上げたのも竜馬だ。アノー号の運び込みに命をかけたのも竜馬だ。その竜馬の死を、無駄にしていいのか。我々で竜馬の夢を実現させるんだ。アノー号を、俺たちの手に取り戻すんだ!」

 ダイゴの演説にメカコン隊員が気勢を上げる。皆の団結を見たバリーは、「気勢を上げるだけでは戦いに勝てん」と制し、作戦の説明をする。バックたちの部隊が敵の目を引きつけている間にヴィクトールタウンに攻め込むのだ。そこに、作戦の協力をしたいと元マドクター青年将校テウスが進み出た。反対する隊員もいたが「竜馬が選んだ男だ。俺はテウスを信じる」とダイゴは断言した。バリーも同意し、テウスは正式に認められた。

 その頃、アノー号では補助エンジンの取り付けが行われていた。その作業員の中に、マドクターに変装したバック達がいた。

 現場を指揮するトウマドック(32話準拠)は、補助エンジンの始動を命じた。アノー号後方に退去する作業員たち。すると始動したエンジンが突如アノー号から切り離され、後方のマドクターたちを直撃した。バックの爆破工作が成功したのだ。

 サクシダーに報告を受けたバラスは、エリアスをアノー号に向かわせようとするが、イクストロンの実用化が大詰めだと断られる。そこに毒魔大帝統が割って入り、バラスにアノー号へ行くよう命ずる。大帝統が自分を信頼していることにほくそ笑むエリアス。

 サントーレでは、ダイゴとバリーが花巻博士の研究室を訪れていた。研究室には何故か踊るレッド・ノーズがいる。博士は壁画から解明したイクストロン誘導機の開発を続けていたが、同調方法が分からないのが課題だった。そこで、「太陽のすかし」伝説に残る儀式の歌にヒントがあるのではないかとレッド・ノーズを踊らせていたのだ。すると、コンピューターが突然動き出した。レッド・ノーズの歌と踊りは見事に役立ったのだ。レッド・ノーズは「この歌歌えるワシ一人だけ」とはしゃぎ、ダイゴたちは「あんたは偉い」となだめるのだった。

 アノー号に到着したバラスは、再度補助エンジンの取り付けに入った。サントーレ軍も動き始める。テウスたちがバックの援護をするためヴィクトールタウンの東門を攻撃、ダルフは花巻博士とイクストロン誘導の作業に入る。

 出発するバリーたちを見送ったアンノンジーは、気になっていたことを京太郎に尋ねるため、サオリと対話室を訪れた。アノー号奪還作戦が失敗した場合、再度ソコネスが地球に近づく5万年後しかチャンスはないというのが京太郎の答えだった。事実上、アノー号なくして人類に明日はないのだ。

 バックたちはコントロールカーを襲い、再度補助エンジンの付いたアノー号をサントーレに運ぶ作戦を決行した。バラスはテウスたちがタウンを攻撃しているという報告を受け、隙を突かれたとタウンに戦艦を向かわせる。それこそがサントーレ軍の目論見だった。

 戦闘の続く中、ダルフと花巻博士はイクストロン貯蔵池の近くに横穴を開け、誘導機をセットする。

 バラスはカマキリ型闘獣士カマラを出撃させた。それを見たバリーはダイゴにカマラを引きつけながらサントーレへ後退するよう命ずる。ゴーディアンはあっさりカマラを倒し、後をバリーに任せる。バラスはアノー号を奪還されたことに気づいたが時既に遅し。サントーレ基地が展開し、イクストロン砲がバラス艦を狙う。作戦の失敗を悟ったバラスは「大帝統様、申し訳ありません、もうこれ以上は」とくずおれる。もはや総統の威厳など失われていた。

 花巻博士のイクストロン誘導装置も無事稼働し、後はアノー号での動力システムを解明するだけとなった。

 その頃、エリアスもついにイクストロンの制禦法を見つけ、エネルギー抽出に成功していた。勝ち誇るエリアス。果たして勝利するのはどちらか。


解 説


 前回に引き続きダイゴが演説でナイスガイ。

 今回も反対する隊員役がモブ役。こういう時にポールのありがたさが身にしみる。

 正念場ということで久しぶりにアンノンジーが長官としての働きをしている。バリーが前線で乗るのもホバーではなく大型の戦車である。

 レッド・ノーズの歌と踊りになぜコンピューターが反応したのか、画面ではよく分からない。パスワードにでもなっていたのだろうか。手元にシナリオがないのが痛い。

 自分が役に立ったことに浮かれるレッド・ノーズをあしらうダイゴやバリーの顔がいい感じに崩れている。今回の原画は村中博美と59話作画監督の丸井忠、二人のみ。

 バリー、「花巻博士」を自然に「大滝博士」と言い間違える。

 潜入シーンだと本当にバックは生き生きしている。彼が脅すコントロールカーの技術者、9話の「恐るべきマドクター総統」で死んだギラリスにそっくりである。

 今回4将軍で前線に出ていたのはトウマドックのみ。サイマドックとナンマドックはどうしていたのか分からないが、二人をもっとうまく使えばアノー号奪還は阻止できたのかもしれない。

 今回の失敗でバラスの総統の地位は風前の灯火に。みるみる小物になるバラスと、優位に立つエリアスがもう一つの見所。


こぼれ話


 『ジ・アニメ』vol.14(1981年1月号)では放送予定欄の質問コーナーで、由井正俊プロデューサーがアノー号のスペックについて「横幅は約400メートル、全長は1キロメートル」と答えている。貴重な公式資料だ。


 テレビマガジン1981年1月号にはふろくで「ロボットひみつ大全集 鉄人28号 ゴーディアン」という小冊子がついていた。構成は「グループ有翼人」。ドラマにもなったサークル「怪獣倶楽部」の別名で、当時は数多くのムック制作に携わっていた。内容は過去のテレビマガジン記事等の再構成だが、サントーレ基地の展開したOP原画と覚しきカットが収録されている。

 三体のロボのスペックが『ジ・アニメ』1980年9月号と一部違っているので改めて紹介しよう。ちなみにダイゴ大滝の身長は1.8メートルと紹介されている。


プロテッサー

 体長…2.5m 重量…5t 速度…70キロから一気にマッハ10まで出せる。


デリンガー

 体長…5m 重量…100t 速度…マッハ6

(「必殺赤光剣」が「せきこうけん」と誤ったルビが振られている)


ガービン

 体長…15m 重量…1000t 速度…マッハ2

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