第130話 お出かけの翌日

 お母さんたちとお出かけした翌日の日曜日。

 部屋でのんびりとすごしていると、いつものように突然ひまわりちゃんがやってきた。

 柑奈ちゃんと遊ぶ約束でもしていたのだろうか。


 とりあえず柑奈ちゃんを呼びに行こう。

 そう思って部屋にむかうと、ひまわりちゃんは私の後をついてきて、私の部屋へ消えていった。


 あれ~?

 もはや我が家のような安心感、なのだろうか。


 まあ、ひまわりちゃんを柑奈ちゃんのヤバ部屋にいれるわけにもいかないのでいいんだけど。

 ちなみに柑奈ちゃんの部屋は私の部屋より奥にある。

 とりあえず柑奈ちゃんを呼び出すことにしよう。


「柑奈ちゃん、ちょっといい?」


 声をかけると、扉が開き、天使のような顔が目の前に現れる。

 あやうく唇が重なるところだったよ。


「どうしたの姉さん」

「ひまわりちゃんが遊びに来たよ」


「約束してないけど」

「やっぱりか」


「姉さんの部屋にいるの?」

「うん、勝手に入っていった」


「それはいけない! また姉さんの下着が無くなっちゃう!」

「どういう関係があるの?」


 よくわからないけど、柑奈ちゃんは非常に慌てた様子で私の部屋に突撃していった。

 ……鍵つけた方がいいのかな。


 私が部屋に戻ると、ふたりは私のベッドにダイブしていた。

 ちょっと意味がわからない。


「……何してるの?」

「姉さんの健康に異常がないか、においをチェックしてるんだよ」

「すごい特殊能力だね」


 しかもなぜ今それをやる。


「そんなことよりなずなさん」

「どうしたのひまわりちゃん」


「昨日、かおりちゃんとお出かけしてたそうですね」

「え、まあ、そうだね」


 ふたりきりではなかったけどね。

 君のママも一緒だったよ?


「むむむ~、私もママと一緒に行けばよかった」

「そのうちまた会えるよ」


「だといいんですけどね。私、あんまりかおりちゃんに懐かれてない気がします」

「そんなことないと思うけど……」


「だって全然会えません」


 まあ、別に家は近くないんだし、そう簡単に会えるものじゃないと思うけど。

 むしろ近くの公園とか旅先で偶然出会ったのが不思議すぎるくらいだ。

 運命の赤い糸で結ばれている可能性があるね。


 そんな私とひまわりちゃんのやりとりを見ていた柑奈ちゃんが、ひまわりちゃんにむかって話しかける。


「ねえ、ひまわりちゃん」

「どうしたの?」


「最近思ってたんだけど、ひまわりちゃんって私のこと、そんなに好きじゃないよね」

「ええ!? どうしたのいきなり」


 ちょっと……、なんか始まったんですけど……。

 私の部屋でケンカしないでよ……。


「だって、家に来てもいっつも姉さんのところにいるし」

「まあ、それはいろいろあって……」


「さっきも、昨日は私と一緒だったのに、かおりちゃんと会いたかったって……」

「だってかおりたんはレアキャラだし……」


 たんって、レアキャラって……。


「む~」

「あれあれ? もしかして柑奈ちゃん、嫉妬してるの?」


「してない」

「うひひ、柑奈ちゃんもかわいいなぁ」


 確かに今の柑奈ちゃんはいつにもましてかわいい。

 こんなのなかなか見れないレアな状況だ。


「む~、姉さんのせいで私とひまわりちゃんの友情にヒビがはいった」


 そんなバカな……。


「だよね~」

「ね~」


 私の目の前で笑顔でハイタッチする天使ふたり。

 友情にヒビ?

 どこが?


「というわけで姉さんには責任取ってほしい」

「えっと、結婚すればいいの?」

「ば、バカじゃないの姉さん」


 違ったのか。

 責任っていうからてっきりそうなのかと。


 と、そんなとき、私のスマホがバイブする。

 誰かから電話だ。


「あ、ちょっとごめんね」


 確認するとお相手は愛花ちゃんだった。

 内容は一緒にお出かけしたいということらしい。


「もちろんオッケーだよ」


 そう答えて電話を切る。


「愛花ちゃんですか?」

「うん、ちょっとお出かけしようって話」

「愛花ちゃん、恐ろしい子……」


 と、そこに今度はメッセージが入る。


「今度は小路ちゃんか。こっちもお出かけか。まいったなぁ、私の体はひとつしかないのに」


 私は嬉しさで顔がにやけるのをおさえながら、困っているフリをした。

 そしてひらめく。


「そうだ、3人でお出かけすればいいんだ!」

「うわ、最低です……」


 ひまわりちゃんがちょっと引いてる気がするけど、さっそく私はふたりにそう提案する。

 返事はすぐだった。


「あ、オッケーだって。よかった」

「姉さん……」

「あ、そうだ! ふたりも一緒にどうかな?」


 どうせならと私はふたりも誘ってみる。


「「行くっ!」」


 なんだかいつものメンバーになってしまうけど、やっぱりそれが楽しいんだと思う。

 私たちはさっそく待ち合わせ場所にした公園へとむかうことにする。

 その間、私は両側から腕に抱きつかれていて最高の気分でした。

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