17 小夜は、ゆうたろうの地球最後の日の告白を……。

 小夜は、ゆうたろうの地球最後の日の告白を……。


 受け入れる? それとも……。


 小夜は初めて見たときの(きっと、もういなくなってしまった)あの男の子のことを思う。

 真っ直ぐな目をした、とても可愛い後輩の男の子。

 沖野ゆうたろうくん。

 ……私のことも、綾川先輩の目には、あんな風に見えていたのかな? そんなことを小夜は思った。


 宇宙は遠い。

 小夜の部屋の壁には、宇宙船が宇宙を旅している写真を載せた大きなポスターが貼ってあった。

 そのポスターの写真を見て、小夜は、もうずいぶんと会っていない、綾川波先輩のことを、思った。(綾川先輩の声が聞きたいと思った)


 ぷるるるー。

 電話の鳴る音がした。

 その電話の音を聞いて、その電話に出る前に、小夜にはその電話が誰からかかってきた電話なのか、わかった。

 それは約束通りの時間だったからだ。


「はい。もしもし」

「こんばんは。あの、三笠先輩ですか?」受話器の向こう側で沖野ゆうたろうくんが言う。

「うん。さすが沖野くん。本当に時間通りだね」小夜は言う。

「はい。……先輩。それで、あの、今日の放課後の返事なんですけど、……約束通り、聞かせてもらっていいですか?」

 緊張した声で、ゆうたろうくんは言う。(なんだか小夜も、そんなゆうたろうくんの声を聞いて緊張してきた)

「うん。もちろん」小夜は言う。

「覚悟はできてます。先輩。僕の告白、受け入れてくれますか? それとも、僕じゃだめですか?」

「……あれから本当によく考えたんだ。えっと、沖野ゆうたろうくん。私の、沖野くんからの告白の返事を今から言います。私の返事は……」


 そう言って、小夜は自分の答えをゆうたろうくんに言った。

 考えに考えた末に出した答えだった。

 だから、小夜に迷いはなかった。


 その小夜の答えを聞いて、「わかりました」とゆうたろうくんは言った。そのゆうたろうくんの声を聞いて、自分がなんだか、少しだけ大人になったような、小夜は、なんだか、本当に、そんな気がした。


 こんな風に出会いと別れを繰り返して、自分は来年、高校生になり、大学生になって、そうして、少しずつ、(でも、確実に)大人になってくのだと、……そう思った。


 先輩。……綾川、先輩。(私は、間違っているんでしょうか? それとも……)

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