第85回『紙』:当社のペーパーレス対応における僕の決意について

 グリーン購入法だとかペーパーレスだとかが取引を継続する条件だと顧客に言われたからと言って容量が大きいだけの安くてうるさくて排熱もひどいサーバ機をたった一台大した検討もせずに購入したと現物を見せられた時に心は決まった。紙の使用も購入も目に見えて減って社長はなんだかご満悦だが代わりに電気代はうなぎ登りで月末には経理が真っ青になるんじゃないかと僕は密かに予感している。だから社長の前に立って紙切れ一枚で事がすむとはいいご身分だなとかなんとか嫌味を言われても決意は全く揺らがない。例えば社長の愛人の名前を掲げたペーパーカンパニーが明るみに出て負債の紙が飛び交ったりしたとしても僕は他人事として眺めたいのだ。

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