狂った森


わたしが揺れていた

わたしを見つめる何かがそう断定していた

わたしは気付かなかった

自分が極めてまともであると過信していた

そんな穏やかな風の吹く午後に

森の奥では少女が笑っていた

けれどお前は笑うな

わたしはそう警告されていたのだ

首筋にあてられた刃物

気に食わない素振りをすると刺す

黙ってそう主張しているのだ

ある日

この森に部外者が侵入して来た

そいつはへらへら笑って

聞いたこともない言葉で笑っていた

わたしは犬小屋のような家に入ると

そこで生まれて初めて感情を爆発させ叫んだ


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