天国の孫


殺害された孫に

会いに行くことを決めた

おれはおじいちゃんだったから

もうすぐ孫に会えるのだ

その季節の到来だ

おれは思った

孫は殺された

その日は火曜日の午後だった

その日から火曜日というものが大嫌いになった

火曜日なんてこの世から消えてなくなってしまえば良いそう思った

火曜日は何も悪くないが火曜日に孫を殺されたから憎むのだ

おれは寿司を喉に詰めて死にかけた

自殺未遂だ

孫のいない日常なんて意味は無い

しかしそんな虚しい努力ももう必要無いのだ

自然と孫に会う準備が身体の中で整い始めている

おれの孫

大切な大切な

犯人は未だ捕まっていない

何故ならおれだからだ

孫がいけなかったんだ

小学校に上がると孫は得体の知れない色気を身体中から放ち始めた

………

おれはその日、孫の膨らみかけた乳房に何年ぶりかの欲情を催した

つい犯してしまった

つい

やる気はなかった

本当だ

気付いた時には全裸で泣き叫んでいる孫を馬乗りになって見下ろしていたのだ

「うるさい! うるさいよ! だまるんだよう!」

思いっきり引っ叩いてやった

孫に話しをちゃんと聞いてもらいたかった

こんなことになってしまったわけ

きっと理解し合えばまたいつものようにおじいちゃんと孫に戻れる筈だった

だが孫はわめき続けた

(………自分勝手すぎる)

こちらの言い分には全く耳を傾けるつもりが無いらしい

仕方なく首を絞めて埋めた

天国で孫に会ったら謝りたい

そしてチャンスがあればもう一度、犯してみたい


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