指先に万遍なく

そいつが絡み付いていて邪魔だった

「あっちいって」

一度そう怒ったことがある

ふうふうと荒い呼吸のわたしに

夢は言った

わたしにはよくわからない言語で

夢の魅力

それはずばり脳内を侵食する強力な菌による快楽物質の分泌

皆これに狂ってしまうのだ

あっち側に行ってたまにしかこっちへ帰って来ないのだ

わたしはくるりと背を向け台所へと行き

そして指先を見下ろした

わたしは指先ごとぶった切った

決断は迅速にそして徹底的に行われるべきなのだ


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