プードル先輩


「先輩………」

おれは言った

先輩がプードルだった

プードルが先輩と言った方が良いのだろうか

判断が分かれるところだった

「わんわんっ」

先輩が野蛮に吠え出した

こえーし

先輩がマスクメロンに噛み付いた

何故ここにマスクメロンがあるのかということの方がおれには不思議だった

ここは部室

だが現に先輩は巨大なマスクメロンに噛み付いている

さすがだ

自分の身体よりも大きな相手に喧嘩を売る

マスクメロンは尻を出し逃走した

やはり先輩が相手ではそうせざるおえない

プードルになったって先輩の威圧は何ら変わってはいないのだ

「先輩ってやっぱすげえ」

おれは言った

ここで終了しても良さそうなものだがさらにとどめを刺しにいくところがプードル先輩の凄いところ

やる時はやる

おれたちにそれを身をもって教えてくれているのだ

「あざーっす」

おれたち笑ってプードル先輩の戦いを観戦

アイスボックスうめえ

プードル先輩が戻って来たら濡れタオルでも渡してやるつもり

「っつかれさまっす」

そしてプードル先輩を絞め殺すのだ

ねえ

先輩、知ってますか?

この世界って下剋上なんですよ

「おい見ろよ、プードル先輩」

おれの隣りの奴が言った

「ちょっ、プードル先輩、馬鹿にしすぎ」

おれたちは笑った

プードル先輩ときたらまるで自分が神話か何かの登場人物であるかのように振る舞っていた

「マスクメロンと死闘」

「先週は茹でザリガニと相打ち」

プードル先輩その会話を盗み聞いて激怒

こっちに向かって走って来た

「いぬっ」

「こええっ」

プードル先輩、飛び掛かって来た

言葉とは裏腹におれたちは素早くプードル先輩を払い落とした

地面の上に転がったプードル先輩を問答無用で踏み潰した

「プードル先輩………おれたち人類なんすよ」

AとBまでは教えた

このままZまでいっちまうか? ああん?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る