第2話 ジューンブライド

 妻と結婚したのは、平成二十一年六月。

 ジューンブライド。


 式は、「ふだん信仰していないキリスト教じゃなく、日本の神様がいい」という妻の希望で、由緒ある神社で行った。


 結婚指輪の内側には、何か一つ青いものを持つと幸せになれるという、サムシングブルーの言い伝えに従い、青い石を入れた。


 日本の伝統か、海外の風習か、いったい何にこだわっているのか分からないけれど、妻の意見を最優先した。

 幸せにつながることは、そのまま鵜呑みにして、すべて盛り込んだ。けれど、きっと幸せというのは、幸せになろうと努力して、幸せになるんじゃない。現状に満足して、今の自分は幸せだと感じること、それが幸せなのだと思う。

 披露宴の各テーブルには、二人のプロフィールが書かれたしおりが置かれ、そこには結婚生活への妻の思いとして、「笑顔のあふれる楽しい家庭にしたい」と書かれていた。


 すべては、「縁」だと僕は信じていた。


 妻と知り合ったのは、挙式の一年前。趣味の習い事が、きっかけだった。

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