ミア迷宮! 地下1階?

 出てきた食事は誰もが知るあの有名なパスタであった。

 そう、どこかの怪盗がレストランで相棒と奪い合いながら食べていたあのパスタ。


 とても大きなお皿に山盛りされた状態で、二人でヨイショヨイショと運んできてくれた。


 確かこれ食べる時はフォークの二刀流が正しい作法なんだよね?


「お、丁度ええとこに。シャーリーとラン、スマンが皿と飲み物用意してくれへんかい?」


「「了解!」」


 元気良くキッチンルームへと駆けていく。


 取り皿をテーブルの上に置くとリンがすかさず手を出そうとしたので「待て」と言うと、そのままの体勢で固まってしまう。


 普段なら周りに何を言われようがお構い無しに行動する筈。一体どしたの?


 首を傾げているとマリが意味深げにこちらを向いてニヤケてみせる。

 どうやら原因はマリにあるみたい。


 取り皿や飲み物が用意されている間も瞬きとヨダレが垂れる以外は身動きせず、料理を見つめたままだ。


「あ、姉様、一体何を?」


 ランも姉の異変に気付き驚いている。


 準備が整い、全員が席に着いたところで

「いただきま〜す!」

「「「いただきます!」」」

 との声と同時に

「よし! リンもうええで!」

 の声が掛かると止まった時間が動き出す。




「モグモグ……今のはもしやスキルか?」

「モグモグ……流石シェリー。よう気付いたな。だけどスキルちゃう、一応魔法の類や」

「モグモグ……どういう効果があるの?」

「モグモグ……秘密や」


「「「プッ」」」


 流石、双子の姉妹。

 以前同じ言葉を聞いた者が一斉に吹き出した。


 秘密なら仕方ないよね?


 なので触れずにそのまま食事を続ける。


「モグモグ……何で誰も聞いてこんの?」


 この展開、どこかで……


「モグモグ……知りとうないんかい?」


 しゃーない


「教えて♡」


「モグモグモグモグ……秘密や」


 やっぱり……はいはい、同じオチね


「モグモグ……ネタバラしたらオモロくないやろ?」


 ほうほう……妹とは違い一応理由が有るんだね。

 まあ大体は想像付くけど、バトルではあまり役には立ちそうも無いし、そっとしとこっと。


 と言うかマキ相方は何でツッコミ入れてあげないの?

 もしかして


「おなかいっぱいなのだ〜〜」


 一方、自らの身に起きた事などどこ吹く風か、お腹をポンポン満足そうに叩いていた。


「ホレ、リン持ってけ〜」


 そんなリンに対し、テーブルの上に「何か」を転がし渡してきた。


「んーーなんなのーー?」


 不思議そうに手を伸ばし、掴み上げるとクンクンと匂いを嗅ぎ始める。


「食いしん坊用のオヤツ」


 葉っぱに包まれた直径十cm程のまん丸い物体。


「この匂いは……う、うめぼしオニギリなのだーー!」

「正解!」

「ありがとねーー」


 嬉しそうにオニギリに頬擦りしている。


「マリさん、ありがとうございます」


 姉に代わり礼を言う妹。


「何、大した事あらへん。ちびっ子が腹へらしとったら可哀想やん」

「そやね。流石姉ちゃん」


 リンは燃費悪そうだし丁度良かった。

 これで休憩一回分は稼げるわね。

 しかしマリも成長したわね。



 さて休憩も出来たし出掛けましょう!



 片付けを済ませて外へと出ると迷宮内はまた真っ暗闇であった。

 どうやらキャンピングセットを使うと、発動していた光源魔法は消えてしまうらしい。


 回復したMPを消費し、再度エリーに明るくしてもらい道を進み始める。


「あれ? 道がないよ?」

「本当ですね! 行き止まりです!」


 光が映し出す先には今まで通って来た通路と同じ壁が道を塞いでいた。


「ここまで一本道だったわよね?」

「どういう事? なの?」


 確かに脇道や階段などは見掛けなかった。


「てきだぞーーニンニン」


 後方からエンカウントしたとの声が聞こえたので一斉に振り向くと、青スライムが五匹プルプルとしているのが見えた。


 これをシェリー・菜奈・シャーリー・リン・ソニアが一匹ずつ、難なく倒す。


 とりあえずマップを開いてみる。

 地図でも出発位置からここまでの一本道で、今いる場所で行き止まりとなっている。


「ん? ここ何かおかしくない?」


 菜緒は自分が開いているマップに何かを発見した様で、こちらに来て私に見せながらおかしい? 場所を指差して教えてくれた。


 指差す場所は直ぐそばの行き止まりの壁。

 確かに表示されている箇所は、他の壁と僅かだが色合いが違って見える。


 壁に近付き遠巻きに調べてみるがおかしい所は見当たらない。


 もしかして……


 持っているステッキの先端をそーと壁に突き刺すと、手応えなく壁へと吸い込まれてしまう。


「幻影?」

「そうみたいね~」


 見た目は上下左右と全く同質の岩壁。

 マップを見るか偶然にでも触れない限りは判別不能な出来栄えだ。


「他に道がない以上、ここを進むしかなさそうだな」


 確かにそうだ。


 問題は……


 壁を見て立ち尽くす。

 モニター内のキャラクターを操作している立場なら躊躇わず突撃指示を出しているところだが、今は状況が違う。


 流石に最弱級の迷宮の一階でいきなり過激なトラップなんて無いとは思うが……


「どしたん? 行かんの?」

「え? う、うん」

「エマらしくないの~。しゃーない、リン~」


「いってくるのだ~」

「姉様、気を付けて!」

「まかせるのだ~」


「あ、待って!」


 止めようとしたがリンの姿が壁に消えて行く、が何故か直ぐに引き返して来た。


「どうだった? 何か見つけたかいな?」

「……まっくらでなにも見えないのだーー」

「敵の気配は?」

「ぜんぜん~~」


「次は私の番なの!」


 と今度は頭だけ壁の中に突っ込んだ、が先程と同じ様に頭を直ぐに引っ込めた。


「ホントに真っ暗で何も見えないなのー」


 眉間に皺を寄せて説明している。

 何か見えるかも? と期待したけど裏切られたって感じで。


「「「どれどれ?」」」


 釣られて次々と横並びになって同じ様に頭だけを突っ込んでいく愉快な仲間達。


「先に入ってみる。リンついてきてくれる?」

 と光源魔法が付与されたアイテムを取り出し使用、エリーの魔法と同じ様に光の球が頭上へと移動して行く。

 そしてリンと手を繋ぎながら壁に潜り込む。


「キャッ!」「眩し!」


 眩しい? 眩しくは無いとおもうけど?


 脇から次々と声やら悲鳴が聞こえ、壁から生えていた生首が一斉に引っ込んだ。


 敵が現れたと思ってビックリしたのかな?


 気にせず周りを見渡すと、今まで見ていた景色がさらに先へと続いていた。


「みんなを呼ぶから周囲警戒してて」

「らじゃーー」


 手を離し、その手を壁に突っ込み「いらっしゃい」の手招きを向こう側にいる者達に送ると、ラーナを先頭に全員やって来た。


 これで前に進める。


 尚、今回の件を教訓に定期的にマップ確認を行う事にした。


 歩みを再開して十五分。

 二回程、色違いのスライム達と戦闘をしたが攻撃を浴びる事なく無事倒した。


 また、いくつか枝分かれした分岐もあったが、オートマッピングもある事だし取り敢えず全て直進してきた。


 すると目の前には大きな両開きの古びた木の扉が見えてきた。


 ここでマップを確認すると、まだ扉を開けてすらないのに何故か先が部屋として表示されており、さらに奥の壁際には赤い光点が一つ、点灯していた。


「流れから言って階ボスフロアマスターだよね?」

「間違いなく~」

「ぼ、ボス?」

「そう、下の階に行くには倒さなければならない相手」


 突入前にもう一度順番で神様にお祈りしレベルが上がるかどうかを試す。

 勿論あの音が響き渡るので扉から離れた場所で。


 結果、

 ラーナ・ソニア・シャーリー・マリ・マキ・ランがレベル8に

 エマ・エリー・シェリー・リン・菜奈・菜緒がレベル7へと上昇した。


 それに伴いステータスと幾つかの魔法が手に入ったが、エリーと同様に全員スキルは手に入らなかった。



 何故スキルだけ?



 階ボスフロアマスター部屋前まで戻ってきた。


「それじゃ~みんな心の準備はいいかいな~?」


 小声で確認する。それに全員頷き返す。


 それを見てラーナが勢いをつけ扉を押す……



 ゴーーーーン



 扉に顔を強打、迷宮内に大きな音と振動が響き渡る。


「い、痛いの~」


 顔を押さえてのたうち回る。


「開かない?」

「鍵が必要なのか?」

「それより今ので扉が壊れたんちゃう?」


 周りが慌て始めた、って誰もラーナを心配していない。


「ちがうよ~」


 見るとリンが手前に引いて扉を開けているではないか。


「何やそう言うことか!」

「ま、不味い! 早く中に入らないと!」


 菜緒が慌てている。


「そ、そうか! みんな突撃ーー!」


 折角コッソリと入って急襲しようと思ってたんだけど、リーダーがポカしたせいで思惑が崩れてしまった。


 だから少しでも挽回する為には急いで中に入らないと!


 扉を開けフォーメーションなど無視をしてドカドカとなだれ込む仲間達。

 全員入りきると音を立てて独りでに閉まる扉。


 入ると通路とは違い生暖かい、そして薄暗いが部屋全体をなんとか見通せるくらいの明るさはあった。



 キンキンキンキン



 どこからか金属音が起きており、部屋中に響き渡っているのが聞こえる。


 見ると丁度部屋中央付近で、黒く大きな影に纏わりつく様に小さな影が飛び回っているのが目に入る。


「り、リン? いつの間に⁈」

「姉様!」


「こうげきがあたらないのねーー」


 よく見ると暗闇の中、音がする度に金属同士がぶつかり合う火花が見える。


 リンが一方的に攻めているみたいだけど、攻撃は悉く防がれている様だ。


「あ、灯りは?」


 シャーリーが叫ぶ。


 そう言えば周りがちっとも明るくなっていない。

 自分がつけた灯りもそうだが、いつの間にかエリーの頭上の光源も消え去っていた。


「この部屋では無効化されるみたい〜」


 残念そうに首を振るエリー。

 理由は分からないが光源魔法は発動しないみたい。

 もしかしたらこの部屋特有の現象なのかも。



 リンには見えているみたいだけど、こんな暗い中で私達はどう戦えばいいのか……



「みんな〜リンちゃんが時間を稼いでくれている間に〜隊列組み直し〜」


 何事もなかったの如く澄まし顔で指示を出すラーナ。

 どうやらダメージは負っていない様だ。


 そ、そうだ。

 全ては崩れてるフォーメーションを直してからだ。


 慌てて並び直す。


「リンちゃん〜今から魔法が飛んでいくわ〜上手く避けてね〜」

「りょうかいなのだーーニンニン〜」

「それと敵の正体は分かる~?」

「ぼやけていまいち分からないのだーー」

「つーことはそこそこの強さっちゅーことやね!」


 この世界の「設定」では、ダンジョン内で入手した戦利品もそうだが自分達よりもレベルが高かったり特殊なモンスターと遭遇した場合、対象がどのモンスターなのかが直ぐには判明しないことが多々あり、相手の姿が見えてしまうのだ。


 その場合、戦っていればその内に正体が判明するのだが、それまでの間は姿や行動から相手の予想を付けた上で防御などの対策を考慮しながら行動しなくてはならず、必然的にこちらの攻撃方法に制限が発生してしまう。


 ただ「ぼやける」とは言っても、人型とか不定形とか大きさなのど大まかな容姿は分かるので、そこそこの対策は立てられる。



呪文攻撃スペルアタッカーは〜炎系の魔法で攻撃〜」

「「了解!」」


前衛攻撃フォワードは近付いてきた時だけ攻撃〜。スペルアタッカーを守ることを優先〜」

「「「了解!」」」


遊撃攻撃フライングアタッカーは距離をとりつつ敵が見えたら攻撃〜」

「了解なの!」


補助攻撃サイドアタッカーは〜待機〜」

「「「「り、了解」」」」


 ラーナリーダーは正攻法を選択したようだ。

 取り敢えず距離を取り、相手の正体や出方が判明したところで待機組も含めて一気に畳みかけるつもりなのだろう。


「それじゃ〜開始〜」



「「小火球ファイヤーボール!」」




 そこからやっと攻撃が始まる。


 先ずは火花が舞っている箇所へ火炎魔法が飛んでいく。

 その魔法に合わせてラーナ達フライングアタッカーが動く。


 火炎魔法は小さい火の玉とはいえかなり明るく敵を認識するには充分な役目を果たしてくれた。


 ただ、ボス相手では速度が遅い様で、当たる前に避けられてしまう。


 が、そこにリン・ラーナ・ソニアが三方向から襲い掛かってくるので誰かしらの攻撃が命中、ダメージを与える事に成功した。



「ガァーーーー!」



 その繰り返しで慣れ始め、ボスの動きが鈍り始めた頃、突然雄叫びを上げながら体が一瞬だけ光った。


 空間を揺るがす程の音と振動。

 ボスを含めて全員の動きが止まってしまう。



 何かのスキルを使ったの?



 と思ったところ、ここで敵の正体が判明、全員の目の前に小さなステータスモニターが現れ名が表示された。



 Lv10オーク



「地下一階からLv10⁉」

「ウチらより上やん!」

「大丈夫だ! たかがオークだ! 連携を崩さなければ絶対に倒せる!」



 だが……



「むーー? まわりにてきがあらわれたぞーー」



 部屋の四隅から今までで一番巨大な青スライムが現れた。

 どうやら仲間を呼んだようだ。


「ちっ、不味い! 囲まれる!」

 ドスの効いた声で呟きラーナの顔が曇る。


 スライムは今まで倒した小スライムよりも早く移動出来る様で、ブニョブニョとみるみるパーティーへと迫ってきた。


「任せて! 菜緒、マリ、マキ、一人一匹担当!」


 やっと出番がやってきた!


 返事もせずに散開、各々の目標へと向かっていく。



 よし、今回は覚えたての魔術で!



 空中に魔法陣を絵描き術を発動。

 すると何もない空間に金属製の「タライ」が現れ大スライム目掛け自由落下していく。

 よく見るとタライの下には鋭い棘棘が生えておりそれがものの見事に突き刺さる。



 ブシュー



 大スライムが煙に変わりタライも消えた後には宝箱が残った。


 あんまし手応えが無かったかな?


 それより覚える魔術は手品染みた術しか覚えないんかい! などと心の中でツッコミを入れながらも意識を他の者へと向ける。


「よし、他は?」


 見ると三人もほぼ同時に無事倒し終えたようで、煙が立ち上っているのが僅かに見えた。


 直ぐにボスへと向き直ると、リンが豚顔頭部に刀を突き刺し、ラーナの抉るようなボディーブロー、さらにソニアの背中への飛び蹴り、そして前衛三人組の武器が突き刺さる瞬間であった。



 ボン‼︎



 一際大きな音を立ててボスが煙へと変わり、代わりに大きな宝箱が現れる。


 その途端部屋の中が地上と同様な明るさへと変わっていく。


「た、倒したんですか?」

「そうみたいね〜」


「「「…………」」」


 暫しの沈黙の後、


「「「ひゃほーーーーう!」」」


 初ボス討伐成功に一斉に歓声が巻き起こる。

 誰かまわずに次々と抱き合う仲間達。


 エマも片手に宝箱を持ち菜緒、菜奈とハイタッチを交わし姉の元へ。


 お互いグーを突き出しコツンと合わせ勝利を祝う。


 出だしで躓き暗闇・正体不明というハンデ、さらに援軍と色々あったが、結局はダメージらしいダメージも受けずに無事済んだ。


 反省点は多々あるが、今は素直にこの勝利を受け入れよう。



 初勝利の興奮が収まってから、戦利品である二個の宝箱を並べ、リンにトラップの有無を調べて貰うと、今回は薇発ぜんまい切れも起こさず無事終了。二つとも問題なしとの事であった。



 先ずはエマの宝箱から

「なかみは……かみだぞ〜」


 手に取ってラーナに渡した。


 次はボスの宝箱

「こっちは……ぶきかなー?」


 こちらもラーナに手渡す。


 紙の方はA4くらいの「物」と、剣? の形をした「物」なのだが二つも名前が確定していない為、外見がボヤけていて種類の見分けしかつかない。



 戦利品を確定させるためには「装備」や「使用」をしてみるか「鑑定ジャッジメント」の魔法を使うしかない。

 当然「鑑定ジャッジメント」の魔法が一番安全確実なのだが、唯一の使い手であるエリーはまだ覚えてはいない。


 武器防具は、一番手っ取り早いのは実際に装備してみることだ。

 ジョブと適合さえすれば装備出来るし「名」も判明する。


 ただ厄介な事にこの世界では「呪われた品」が存在しており、万が一「呪われた品」を装備してしまった場合「解呪ディスペル」するには教会に連れ込み高〜いお布施を支払うか、もしくは教会の一員である司教、つまりエリーに頼るしかない。


 だがこの「解呪ディスペル」の呪文に関してもエリーは未だに覚えてはいないのだ。


 もう一つアイテムに関しては「一つ」を除き呪われる危険性はない。

 ただ呪われる危険性が低いとは言ってもアイテムの場合は別の問題、つまり種類の多さが問題ネックとなる。


 例えば「紙」一つとってもスクロールも有れば護符もあり、ただの落書きや白紙というオチの可能性も考えられる。


 さらに「がわ」によって効果も違い、調べている最中に意図せず目の前からフッと消え去ってしまう事さえあり得るのだ。


 これらのことから迷宮探索に関しては、鑑定の魔法を覚え司教であるエリーの存在価値はとてつもなく高いといえるだろう。


 という訳で切羽詰まった状況でもないのなら、取り敢えずは鑑定ジャッジメントを覚えるまでは保留にしておくのがベストなのだ。


 最後に余談だがエマの魔術の一つで、落とし穴を使って出した宝箱にはトラップはなし。



 受け取ったアイテムをそのままアイテムボックスへと収納し終えると突入前にマップで確認した箇所、ボスがいたであろう場所の床が音を立てて崩れ去り、その下に地下二階行きの階段が大きな口を開けた。


 中を覗き込むと、室内の明かりの差し込みである程度までは見通せるが、光が届かないその先は静まり返っている。


 その暗闇を見て先ほどまでの勝利の余韻が萎え、メンバー同士顔を見合わせて無口になってしまう。


「どしたの~いかないのか~?」


 ピョンピョンと器用に後ろ向きで階段を降り始めるリン。

 唯一見えている目が、早く行こうと訴えている。


「あ、姉様一人では危ないですよ!」

 慌てて付いて行くラン。


「そうよね~ここで眺めてても仕方ないし~」

 リンの真似をしてぴょんぴょん跳ねながら下りていく。


「師匠! 待ってなの!」

 こちらも慌てて付いていく。


「では私達も行きましょう」

「はいお姉様!」


「置いてかれる! ウチらも行こか」

「そやね」


「行こう菜緒」

「うん」


 沈みかけた雰囲気がリンのお陰で一瞬で戻った。


 ま、この先の事を心配してもしょうがない。

 どうせ出たとこ勝負の成り行き任せ。

 なる様にしかならないから先に進むのみ。


 もっとポジティブ思考でゲームを楽しまなきゃね!


 笑みが戻った姉妹が最後に階段へと入って行った。


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