パパシモン

思いを巡らせる死の淵

なかなか死にかけることは少ない。ってかほぼない。

日常、奇跡的に安全な日々を送っている。

しかも、予定どおりに世の中は生活するための仕事が進められている。

死に際なんてかすりもしない。


アルバイトで病院の食器を下膳する際に、各階の病人を見ることがある。

大人になれば不安や恐怖はなかなか表に出にくい。子供はもろに表情に出てくる。

明日どうなるかは誰もわからない。しかし病人は、明日どうなるかわかりつつある。

それをよそに、せっせと下膳する自分は、お金がほしいために働いている。

滑稽だ。何の基準で、そういう立場になるのか。

不摂生したって入院しない人もいるだろう。入院しないで亡くなる方もいるだろう。


生死のきわにいるひとは、何を生まれる前に授かっているのか。苦しむのは何のためか。淵は深く、見えないものがある。








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