58話 それぞれの常識

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交渉を終えた義清一行とウルフシュタットが建物を出ると

それぞれの兵がそれを出迎えた。


義清とウルフシュタットは交渉の内容を説明した。

ウルフシュタットが軍の内情を漏らしたことは秘密にし、

単に義清の国とヴォルクス家が友好を持ったということで話は説明された。




「ん?」




部下にヴォルクス家の者は当面は敵ではないことを説明する義清の、

横にいるラインハルトが不思議に思ってウルフシュタットの兵の方に近づいていった。


ウルフシュタットの説明を聞く黒色鎧の騎士たちの後方にダミアンの白色鎧の騎士たちがいる。

ダミアンは白色鎧の騎士たちの中ほどででウルフシュタットの話を聞いている。


ダミアンの右手は手首から先が無くなっている。

ラインハルトとの決闘で焼き斬られたせいだ。

ダミアンの短くなってしまった右手は包帯が巻かれており、

血が滲んで、傷のせいで熱があるのか顔が赤い。


無造作に白色鎧の騎士たちを押しのけるとラインハルトがダミアンに話しかける。




「おい、腕はどうした?」




ラインハルトの質問にダミアンは苦い顔しながら答えた。




「皮肉のつもりですか?誰がこの手を切り落としたと思っているのです」


「別に皮肉など言ってない。腕はどうしたのかと聞いているんだ」


「だから、斬り落とされたんですよ。あ・な・た・にね!!」


「そんなことは知っている!!腕をどうしたのかと聞いているんだ。

 お前は俺をバカにしているのかっ!!」


「バカにしているのはあなたでしょう!!」


「なんだとっ!!

 お前は俺を怒らせたいのか。もう一度斬られたいならそう言え!!

 今度は左手を斬り落としてやる!!」




ここで騒ぎを聞きつけてウルフシュタットと義清がやってきた。




「どうしたのですダミアン、落ち着きなさい」


「せっかく友好を結んだのにぶち壊してくれるなよ、ラインハルト」




二人はラインハルトとダミアンをなだめる。

すると、ここで義清がダミアンの右手の傷を見て不思議に思い尋ねた。




「貴殿は右手をどうされた?」


「あなた方はそろいもそろって……

 あなたの部下に斬り落とされたんですよっ!!

 あなた方は私をバカにしているのですか!!

 これだからモンスターとはわかりあえない」




この言葉にラインハルトをはじめ配下のボア族はもとより、

ヴェアヴォルフ族が怒りだす。




「大殿!!こいつ斬って捨ててしまいましょう!!

 人が物を尋ねているだけなのにこの態度。

 とても一国の領主を相手にしている態度ではありませんぞ!!」




周りの2種族もこの言葉に賛成の声を上げて激昂する。


ウルフシュタットが慌てて義清に声をかける。




「あまり弟をからかわれては困ります。

 ただでさえ腕を斬り落とされてあなた方を恨んでいるのです。

 そんな質問をして怒るなと言う方が無理というものです」


「そうか?

 ふつうは真っ先に疑問に思うと思うが……

 貴殿の弟君は一生あのままのおつもりなのか?」


「あのままとは?」


「つまり…その…腕をあのままにしておくのか?

 片腕が手首から先だけとはいえ無いの不便だろう」


「無いものは仕方ありません。

 あのまま生きていくしかないでしょう。本人の行いのせいです。

 自分でしたことには自分で責任をとるしかありませんから」


「それはちと手厳しいな。

 いくら己の力量に似合わないことをしたとはいえ、

 それはあまりに酷と言うものではないか?

 数日ならまあ、わからなくもないが一生とは」


「数日?いったいそれはどういう意味ですか

 弟の斬り落とされた腕の話をしているのでしょう?」


「そうだが?

 つまりは弟君の腕をくっつけて元に戻さないのかと、

 まあ、丁寧に聞けばこんな感じだが?」


「お待ちを。

 斬り落とした腕が簡単にくっつくわけがないでしょう?」




ここでウルフシュタットたち以外の全員が、義清をはじめ顔を見合わせた。




「くっつかんのか?」




義清が心底不思議そうにウルフシュタットに聞いた。


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次回更新予定日 2020/2/16


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