第49話 座談会
メグ「はい、皆さん、お疲れ様でした~。今日はお待ちかね、キャストの懇親会なんですが、その前に一応形だけ反省会をしようということで、わたくしメグこと和邇萌美が進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いします」
紗弥「別に、いいんだけどさ、今さら何も言うことなんてないよ?」
メグ「はい、紗弥さん。自称一番福でしたね。本当の結果はどうだったんでしょう、閃太郎さん」
閃太郎「え?おれ、何か答えないといけないわけ?」
メグ「そりゃあ、そうでしょう。一㎞先のペットボトルが見分けられるという、その視力。まさにタカの目、ホークアイ!あれ?ハヤブサってホークじゃないですか?ファルコン?まあ、同じようなもんでしょ。最後は紗弥さんが、亜弓さんに勝ったんですよね。それとも同着?」
閃太郎「いや、あのブルベ、ルールがよく分からないっていうか、米プラザのゴールと、西宮神社のゴールって、どう関係あるの?」
君世「あ、それはね・・・簡単に言うと、米プラザのゴール一着で得られるエネルギーを百とします。二着は十、三着は一って感じかな。西宮神社のゴールも漸減率は同じで、かけ算になるのよね。だから、米プラサ一着で西宮神社一着だと、一万ポイント。両方三着だと一ポイントのエネルギーを使えるってわけ」
脇本「そんなん、ぜんぜん聞いてへんかったけどな」
平井「おれにもしゃべらせろ。勝手にちょい役にしやがって。ケンカだったら、登場人物中で、おれが最強の最凶キャラなんだぞ」
メグ「はいはい。分かってます。もうけの三割って、報酬がいったい何だったのか、ちゃんとヴェントエンジェルは、怖そうで怖くない、ちょっと怖い平井先輩に税込みでお支払いしたのか?ってことですよね」
四郎「もう、おれ帰っていいかな?ローラー教室、夕方までに戻らないとまずいし。どうせおれなんか、引き立て役の使い捨てってわけだろ」
庭島「いや、そうでもないですよ。確か、物語の時間軸は二〇一八年のはずで、この年は、ぼくが最速店長選手権に勝つってことが、歴史的事実として約束されているんですよ」
脇本「ほんなら結局、おれもただの脇役いうことやないか」
メグ「まあまあ、みなさん、落ち着いて。主役の亜弓さんのご感想とか、お聞きしないといけませんよね」
亜弓「え、ここで振られるの?今さら何も言うことないんですけど」
陽子「そうじゃなくてさ、あなたが祐二に思いを捧げるのはいいんだけど、それでもう二度と恋をしないとか、もったいないじゃない?」
亜弓「そんな話なの?・・・祐二は一生好きだけど、これから、また別の男の人を好きになるかもしれません。それでも祐二は怒らないって分かってるし。これでいい?」
陽子「あ、そうなんだ・・・ごめんね、なんか、言わせちゃって」
紗弥「それで、問題は閃太郎が、一応イケメンのくせに、さっぱりモテないって事の方が重要じゃないの」
閃太郎「なんで、今そんなことバラすわけ?」
紗弥「いいじゃない。まだ可愛い子たち、たくさん残ってるでしょ、どうにかして、縁を結びなさいよ」
閃太郎(うるさいよ。このツンツン女が・・・)
ハチケン「あのー、メグさん。この座談会、いったい何か目的というか、目指すゴールってあるわけ?」
メグ「あのですね。小説とはいえ、キャラはそれぞれ生きてるわけですよ。メビウス・ロードっていう、一つの物語が終わったとしても、一人一人の物語はその前もあったし、これからもあるわけですよ。わたしだって、やっと事務所に所属できて、これからアイドル活動を本格的に始めるわけじゃないですか。頑張ったら、祐二さんに逢えるかもしれないっていうことで」
一同「・・・」
メグ「なので、わたしも含めて、それぞれのキャスト、メビウス・ロードの前日談とか後日談などを、今だから言える話を中心に、ご披露していこうっていう趣向なんですよ。分かりましたか?」
美津根「あー、よく寝たわ。集会、終わりか?丸瀬、仕事がたまってるから、はよ帰るぞ」
紗弥「はい、社長。車はわたしが運転しますね」
八代「あのー、ぼくのオリンピックのエピソードなんかも、取り上げてもらえると嬉しいんだけど」
真理子「それなら、わたしだって、過去の日本での栄光じゃなくて、今現在ヨーロッパで頑張ってる姿を書いてほしいな」
シホ「わたしは、自分で旅行記出すから、今回はいいわ」
ミドリ「わたしの秘められた恋バナ、ぜひお願いしたいです」
メグ「はい、いろいろとご要望があることは承知いたしました。では、第一話は祐二さんのお話から始まりますよ」
一同「えー!?」
紗弥「いいの?それって、禁じ手じゃないの?」
亜弓「ううん。わたしは聞きたいな」
閃太郎「っていうか、メグのやつ、祐二がどうなったのか、本当に分かってんのかよ」
メグ「では、いよいよ始まりま~す」
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