◇110◇僕達はいなかった作戦

 ミーレンとムダマンスは、僕が血ランを探しに行くと思ってつける事にしたのかも。そして、運よく? 本当に血ランを見つけた。

 エジンを連れて行ったのは、かなり仲が悪いとわかったからエジンと喧嘩したって事にしたのかも。

 エジンが言っていた作戦では、僕は死なない。罪を着せられて罰せられるだけ。でも本当は、そこで僕もエジンも殺すつもりだった。


 ミーレンは、強かった。あの僕を殺そうとした男達と同じで、ジーンより強くて魔法も使えた。

 ロドリゴさん達がこなければ、僕は殺されていたと思う。

 って、ミーレンはまだわかるけど、ムダマンスも強かったよね? 少なくともエジンよりは強い!


 「何であんなに強かったんだろう?」


 「うん? 強かったって?」


 僕が呟くと、イラーノさんが聞いて来た。


 「ミーレン達。あの人達、ジーンより強かった。訓練していたって事だよね? ムダマンスもエジンよりは絶対出来る」


 「そんなもんじゃなかったな。あれは基礎訓練をしてというより、戦闘なれしている感じだった。もしかしたらモンスター相手に練習をしていたのかもな」


 「え!? じゃ、ミーレンとかあの男達も?」


 「もしかしたら魔物の谷は、そういう場所だったのかもしれない! 人の目についてしまった。憶測だけどな」


 ロドリゴさんの言葉に、僕もダイドさんもあり得ると頷いた。

 あの二人は、追われる覚悟もしていたけど、エルフの村を見つけてどうするつもりだったんだろう? 不老不死とか言っていたけど……。


 「イラーノ、クテュール。凄く大変だとは思うけど、せめて一年、身を隠してほしい。クテュールがテイマーだったと知っているのは、我々と鑑定師のゼップ、それと受付の者ぐらいだ」


 ロドリゴさんの言葉に僕達は、頷いた。


 「さっき話して決まった。いいかクテュール、君はナットスとイラーノであの血ランを探しに行って発見した。採取が終わった時、あの二人が現れた。君達は、我々を呼びに戻りあの現場にはいなかったんだ。俺とロドリゴが行くとモンスターが居て、ムダマンスがテイマーだと知った事にする」


 「「え!」」


 僕とイラーノさんは、驚いた。


 「その作戦って成功するの?」


 「エジンは? あの場にいたエジンはどうするの?」


 エジンなら何か話すかもしれない。ミーレン達が何か言っても言い訳にしかならないからいいけど、エジンは何か言うかもしれない!


 「心配ない。残念だが彼はもう冒険者は無理だろう。よほど怖かったんだろうな。まあ、殺されかけて、あの惨状を見たのだし……」


 ダイドさんがそう言うも、僕も同じなんだけど……。エジンにも殺されかけて、怖い目にもあって……。僕ってもしかして、図太い!?

 でもジーン達がいたからかな?

 そうだ! これからは気兼ねなく皆といれるんだ!


 「本当に君は緊張感がないというか、状況わかってる? 何故、この状況でニマニマしてるんだ?」


 そう言ったダイドさんは、眉間に皺を寄せていた。

 だってそれは仕方がない。テイマーになったらキュイ達の元へ行く事になっていたんだから……。そう念願が叶うんだ!

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