◆063◆テイマーだと隠していた男
ロドリゴさん達は、馬で村に来ていた。
ジェスロさんは、村に戻り僕が用事でギルドに戻ったと伝えに行き、ロドリゴさんの馬に僕が、ダイドさんの馬に捕らえた赤茶髪の男が乗り、ギルドに向かう。
街に着いたのは、夜明け頃だった。
捕らえられた男は、ギルドの地下にある牢に入れられた。
少し寝るかと問われたけど、寝ないで話を聞く事にする。それで、ロドリゴさんの部屋で話を聞く事になった。
僕達は、床に座って三人向かい合っている。
ダイドさんは、不安げな顔つきだ。
ロドリゴさんは、いつもと変わらない。って、数度しか会った事ないけどね。
「まず、世間では君の父親は、魔物の谷に挑んだ者とされている。そこは、魔物が集まり、人間が近づけない場所になっていた。だが、度々人間がさらわれているという噂があった」
ロドリゴさんが、語り始めた。
確かに話していた男は、魔物の谷に挑んだって言っていた。
「だが本当は、騙されてそこに連れ出されたんだ」
「え……」
ロドリゴさんの意外な言葉に、僕は本当だろうかとダイドさんを見ると頷いた。
父さんは、誰かに嵌められて、モンスターに殺されたって言うのか?
「今日、君を襲った男は、その騙した男の一味だ」
「え? ちょっと待って! そんな事をした人達が冒険者のままなの?」
僕が聞くと、ばつが悪そうに二人は顔を見合わせた。
「すまない。彼らが仕組んだと立証できなかったんだ。全てあのテイマーのせいになってしまった……」
そう驚く内容をロドリゴさんは、口にした。
もしかして、あの男たちの仲間のテイマーが、父さんを騙した相手!?
だから崖で話していた時に、あんな会話を……。
「そのテイマーの名は、アーツといった。彼は、六年前、テイマーだと言う事を隠し、俺達に接触を図って来た」
「隠して?」
ロドリゴさんは、頷く。
「ジョブというのは、特別なジョブ以外結構ルーズにつけられる。そして、二つ三つジョブを持っている者もいる。メインをテイマーにしていなければ、証には表示されない」
「表示されない?」
説明をしたダイドさんが、今度は頷いた。
「代表のジョブ。つまり、名乗りたいジョブをメインにしていればいい。例えば、剣士と魔法使いのジョブを二つ持ったとしよう。剣の方が得意なら剣士と名乗ればいい」
「え? 魔剣士にならないの?」
「そう名乗ってもいい。だが魔法と剣を使い分けられるならジョブを分ける事も出来る」
ダイドさんの説明に、僕は首を傾げる。
そうする意味がわからない。魔剣士の方が響きがいいと思うんだけど……。
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