◇044◇ナットスのレクチャー

 食事を終えた僕は、腰に鞄をくくりつけていた。

 よし! 準備完了!

 リゼタが来る前に出掛けなくては! 今日は一人で仕事をしたい! ハッキリ言って森に行くならジーン達と一緒の方がいい。


 とんとんとん。

 そう思っていたらノックされた!

 もう来たの?!

 今日は、イラーノさんが起こしてくれたから早く準備が出来たと思ったのに!


 「おはよう。ナットスだがクテュールは、いるかい?」


 あ、違った。ナットスさんだ!


 「はい。おはようございます!」


 僕は扉を開け、挨拶を返した。


 「おぉ。起きていたか。一応依頼の受け方をレクチャーするから今から来れるか?」


 「はい! あ、イラーノさん、行って来ます」


 「行ってらっしゃい」


 食べ終わったイラーノさんは、ベットでごろごろしていた。あの人は、仕事をしないのだろうか? そう言えば、昨日夕方に出掛けていたっけ? 仕事だったのかな?

 そんな事を考えていて歩いていると、一階の依頼コーナーまで来た。って、僕が勝手につけた名前だけど。


 「ここに貼ってある紙には一応ランクがある。☆で示してあって、冒険者レベル2までならどれを受けてもいい。請け負ったら責任を持って、終了させないといけないので注意してほしい。期限付きのもあるのでそれも確認する事」


 僕は、首を傾げた。レベルが低い方がどれを受けてもいいとはどういう事だろう?


 「あの、レベル3以上になったら受けられないのがあるんですか?」


 「☆一つは受けられない。因みに順調に行けば一年ちょいでレベル3になるはずだ。そうしたら一人前という事で、ここの宿舎から出て行ってもらうことになる。なのでこの一年で、お金を貯める事と冒険者としてのスキルを身に着ける事」


 ナットスさんは、左手人差し指を立てて、そう説明をした。

 あれ? リゼタってレベル3じゃなかったっけ?


 「あ、そうそう。特例もある。女性だったりヒーラーの様なジョブだった場合は、ずっと宿舎を使える。まあ、その場合は家賃をとるけどな」


 「なるほど」


 それでリゼタは、まだここにいるのか。

 一年間か。まあお金を溜めれば、もっと早く出ていけるって事だよね?


 「君は薬草に詳しいから、☆一つの採取系を複数請け負って、いっぺんにやると効率がいいかもしれないな。あ、そうだ。ビニール袋がカウンターで売っているから買うと良い。本来は、それに採取した薬草を入れて手渡す事になっているからな」


 「わかりました。そうします」


 うーむ。雑費がかかるなぁ。

 でも、ちょっと高めの依頼を受ければ……。

 うーん。☆一つだと最大500Zぐらいしかない。

 ☆二つの採取も一緒に請け負うかな。

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