第123話:恋のキューピット



「マナ!?」

「マナ様!」

 驚いたライツがすぐに片膝をついて愛那に寄り添い、その反対側はナチェルが駆け寄りライツと同じように寄り添う。

 しかし愛那は周囲に気を配るような精神状態ではなかった。

(最っ低だ・・・・・・! 最低だわ私!! 何の非もない神様に対し、何てことを言ってしまったの!!)

 勢いよく再び深く頭を下げ、愛那が謝罪を声にする。

「神様! 誤解していたとはいえ、失礼極まりないことを言ってしまい、本当に申し訳ありませんでした!」

「落ち着いて下さいマナ様」

 優しく声をかけるナチェル。

「落ち着いている場合じゃないんです! ナチェルさん!」 

 ガバッと顔を上げ、ナチェルに向かい涙目の愛那が訴える。

「私ってば・・・・・・私ってば、神様のくせにあなたの目は節穴ですか!? とか言っちゃったんですよ!?」

「え?」

 ・・・・・・・・・・・・。

 皆が唖然とする中、リオルートだけがサッと掌で口を覆い、己の声が漏れるのを防いだ。

「人の恋路を邪魔するなんて、神様だって許しませんよ。・・・・・・なんて! 何様なの私!? 馬鹿なの!? 邪魔するどころか恋のキューピットじゃない! 神様なのに!」

 それを聞いたリオルートが、体を揺らしながら笑いをこらえる。

 モランは唖然としたまま。

 ナチェルは困った表情で愛那の背をさすっている。

 そしてライツは・・・・・・。

(邪魔するどころか恋のキューピット? どういう意味だ?)

「ああっ! そうだ!」

 更に思い出した愛那が、祭壇に向かって声を上げる。

「撤回! 撤回を撤回いたします神様! さっきの撤回要求はなかったことにして下さい! 私の運命の恋人がライツ様なら何の問題もありません! むしろ大歓迎です! さすが神様! ちゃんとわかってる! 私の恋心なんかお見通しですね!」

(・・・・・・!?)



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