第92話:王太子候補
「そうです。ルザハーツ家の次男で、しかもその頃のライツ様は王太子候補のお一人でもありました。バリンドル家がほっとくはずがありません」
「王太子候補? え?」
(どういうこと? 王太子って普通に王様の息子であるあの王子がなるんじゃないの?)
「王子であるレディル殿下は成人を迎える18歳までに自身が次期国王に相応しいことを国民に示さなければなりませんでした。この国では魔力が大きい方こそが王に相応しいとされています。学生時の成績などで評価されたライツ様が候補として上がるのは当然のことでした。ライツ様ご本人は次期国王になることを望んではいませんでしたが」
「本人が望んでいなくても候補になっちゃうんですか」
「そうです。魔力の大きさを正確に知ることが出来るのは、初代国王が持っていた幻のスキル【鑑定】のみ。ですのでお二人には決闘という形でどちらが王太子として相応しいかを決めることになり、今から一年程前、レディル殿下が王太子に就任されたというわけです」
「え、じゃあライツ様はその決闘で負けたということ?」
(あの王太子、ライツ様よりも強いの? そっか【強き者】ってそういうことか)
ナチェルは少し困った顔をして「そうですね」と答えた。
「その決闘に関しての真実はマナ様がライツ様ご本人にお訊ね下さい」
「?」
首を傾げる愛那。
「話が逸れましたが、マリエル嬢のライツ様へのアプローチは他のお嬢様方と比べてもすごかったです」
「・・・・・・」
(他のお嬢様方?)
「彼女は男からみてとても魅力的なのだと話に聞きました。可愛らしい顔立ちで甘え上手なんだとか。実際何人もの男達が彼女のいいなりになっている姿をみかけたことがあります」
「へぇ・・・・・・そうなんですかぁ」
もやもやとした感情を抱えた愛那が半目になってそう相づちを打つ。
(そんな子がライバルになるのか。やだなぁ・・・・・・。ああもう! さっきからライツ様に群がる女の子達の姿が脳裏から離れない! 胸のむかつきが重症です!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます