スキル

「それで、ステータスは諦めるが、スキルというのは何なのだ?」


「スキルってのは、ようはこっちの世界の人間が言う魔術みたいなものさ。というより、魔術もスキルの一部と言った方がいいか?」


「その説明じゃ、いまいち分かりにくいな」


 もっと詳しく話してほしい。


「そうだな、スキルというか、まず前提からなんだが……」


 ユースケ曰く、人間にはレベルというものがあり、魔物を倒すと経験値というものが貯まって、体力や魔力、腕力、俊敏、器用、知力のステータス値が上がるらしい。


 ふむ。それはこの世界でも言われている事だな。

 魔物を倒せば体力や魔力が上がるというのは、冒険者にとっての常識だ。


 そして、ここからがスキルの説明になるのだが、ユースケは魔物を倒した時、ステータスが上がるだけじゃなくて、ポイントが貯まるらしい。

 そのポイントを消費して、魔術や剣技、更には生産技能なども習得出来るらしい。

 おそらくこれは、他の召喚された者たちもそういう仕様だろうとのこと。


「なるほどな。なんとなく分かってきたよ。それでユースケはサンドリザードの時に新しい魔術を覚えたという訳か」


「よく覚えてたなそんなこと。あぁ、確かにあの時、おれは新しい魔術を覚えたんだ。サンドリザードには水系統の魔術の効きが悪かったからな」


 確かあの時は、ポイント消費とかスキル獲得とか叫んでたからな。

 その奇行もそうだが、何より二属性持ちという事で印象深かったから覚えていたんだ。


「ならユースケはポイントさえ消費すれば、魔術や剣術の達人にだってなれるってことか。ズルいな。その力」


「あぁ、おれらの世界じゃこういう力を"チート"って呼んでいるんだ。だけど実際、この力はそこまでチートじゃないんだぞ?」


 チートというのか。覚えておこう。

 だがそこまでチートじゃないとはどういう意味なんだろうか?


「このポイントは最初から一あって、レベルが上がるごとに一ずつ入ってくる。おれがサンドリザードと相対した時のレベルは八。それまでの一週間、散々ゴブリンや、ランクアップのためのオークを殺して八だ。そして、サンドリザードを倒してやっと九。最初の頃はレベルは上がりやすかったんだけどな。レベルが上がるにつれ、必要経験値が上がっていくみたいで、なかなかレベルアップしなくなってくるんだ。」


 そういう仕組みなのか。

 確かに多くの魔物を殺しているであろう冒険者たちも、一般人と比べてそこまでずば抜けた能力を持つものは、なかなかいない。

 レベルが上がるにつれて、必要経験値も上がるというのは本当の話なのだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る