アイテムバッグ?

 おれはユースケの持つ魔道具について考えていた。

 あれを魔法で再現は出来ないだろうか。


 袋の容量を広げるのは"空間"の古代語でいけそうだ。

 流石に無限とはいかないが。


 重量を軽くするのもいけるな。

 もちろんこれも重さを完全に零にすることは出来ない。


「おい、アル、急に黙ってどうしたんだ?」


 時間停止なんてもってのほかだ。

 いや、不可能ではないかもしれないが、その魔法を使ったとたんおれの体力が尽きて、死んでしまうだろう。


 うーん。

 "健康"の古代語を応用してどうにかならないだろうか?

 おそらく素材を腐りにくくする事は出来るだろう。


「おーい、アルー。もどってこーい」


 さて、問題は袋の取り出し口の部分だな。

 袋の入り口以上の物を収納するにはどうしたらいいだろうか。


 一時的に小さくする魔法でどうにかなるか。

 あ、袋自体の強度も上げないと、破れてしまうな。


「もしもーし、聞こえてますかー?」


 よし、さっそくやってみるか。


「よしっ!」


「うおっ、ビックリした!?」


 おれは自分の素材回収用の袋を手に取り、古代語を唱える。

 まずは容量の拡張だな。


バグー・袋よフィクス・存在を変えずナイ・中身よビグ・大きくスパイス・広がれ!!』


「どうしたんだ急に?」


 次は重量軽減。


バグー・袋よフィクス・永久にリット軽くなれ!!』


「それって何語?」


 よし。今のとこ順調だな。

 体力もそこまで消費していないし。


 次は腐敗か。

 だが今更だがこの魔法は必要か?

 腐る前にギルドに提出すればいい話だし。


 しかし便利そうな実物を見てしまったしなぁ。

 欲しくなるし、やっぱりこの魔法もかけておこう。


バグー・袋のナイ・中身よフィクス・永久にルヘシー健康であれ!!』


「なに喋ってんのか全然意味分かんねぇ」


 さて、最後の魔法だ。

 袋に入れるときに物を小さくする魔法。

 これは古代語の構築が大変だ。


バグー・袋のイル・中に入る時イグシー・存在よスマルー小さくなれ!!』

バグー・袋からガイ・外にに出す時イグシー・存在よリ・スマルー元に戻れ!!』


 ふう。だいぶ体力を消費した。

 今日はもう激しい運動は無理だろう。

 早く帰って寝たい。


 だがその前にこの袋の効果を確かめねば。


「なぁユースケ、さっきのサンドリザードの死体、出してくれないか?」


「おぉ! やっと戻ってきたか! 出すのはいいけど何で?」


「ちょっと試したいことがあるんだ」


「ふーん。別にいいけど。ほいっ!」


 ユースケが手のひらを地面に向けると、どこからともなくサンドリザードの死体が現れた。


 よし。試してみるか。

 おれは素材袋の口を死体に接着させた。


 するとユースケの魔道具のように一瞬でとはいかないが、スルスルと袋の中に入っていった。


「よし、成功だな。」


 おれはその結果に満足した。

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