ゆーかい

 私、青原光うなんばらきらりは誘拐された。帰り道、突然視界が真っ暗になって――気付いたら見知らぬワゴンの中に転がっていた。手足を縛られ猿轡をかまされて、私は目の前の黒ずくめの男が「UNANBARA」と刺繍の入った学生カバンを漁るのを見ていることしかできなかった。お、と声を上げて男がカバンから紙を引っ張り出す。30点のテストだ。男はそれをまじまじと見つめて、私のほうを見た。

青原光うなんばらきらり……か。いい名前してるじゃないか」

 鳥肌が立った。

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