第557話 絶対に確かめたい事


 「ここまで来れば一先ずは安心さね」


 「…………」


 「それにしても、どこまでいっても海しかないさね、この世界は」


 「……」


 「それで、何か解ったさね?」


 アンナはずっと黙って顎に指を当てて考えていた。

 

 「あの種、何もない所から出てきたわ、魔法陣で転移させたとかじゃないまるでそこに存在したみたいに」


 「ふむ」


 「色々あるけど、もう一つ、これを確認しないとならないわ」


 アンナはルダをまっすぐ見て問う。



 「____あなたは誰?」



 「誰とは?私は最初に言ったさね」


 「神の使徒なのはわかってる、でも流石にアナタの発言を聞いててそれだけじゃないのは解るのよ」


 「……」


 「でも、私は思い出せない、いや、あの時の無くなった記憶、自分の知ってる記憶が他に移り変わってる感覚に重要なのがアンタね」


 「ククッ、流石さね」


 「そう言う反応は良いから、すぐに言いなさい、でないと__」


 アンナは魔法陣が発動した手をルダに向ける。


 「……何の真似さね」


 「助けてくれたことにも感謝するわ、こんな事しても力に差があるアンタに勝てないのは分かってる、だけど今戦力が削がれるのはそっちも痛手じゃないかしら?教えてくれないなら全力で教えてもらうわ」


 「ふむ、お前は確か聞いていた話だと記憶を取り戻すためにリュウト達についていったと」


 「えぇ、当然あの時の事は思い出したわ、アオイがあの怪物を作り出した事……だけど、私の記憶はそこだけじゃない」


 「ほう?」


 何もしてないのにアンナは冷や汗をかいて苦しそうに語っていく。


 「私、の、記憶はそこだけじゃ、ない!」


 【呪い】……無意識を操るその力はアンナの記憶にもかけられていた。


 「なるほど、神も粋なことをしてくれるさね」


 「何を言ってるの!」


 「お前は今、“無意識に考えない”様にされていた記憶の箇所を無理やり考える様にしている、呪いに自分で対抗しているさね」


 ルダはアンナの手を下げ指をおでこにつける。







 「思い出すと良いさね、あの時の事と____私のことを」






 

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