第512話 ツクヨミワールド
《月詠世界》
「……」
【もうこの世界に入ると僕の許可なく外には出れないよ、君の世界はここしかない】
声が聞こえる、だが場所は絞れなさそうだ。
【そりゃそうさ、君の脳内に直接話しかけてる】
……心が読めるのか。
【ここは僕の世界、君はこの世界に入った瞬間から死んだも同然なんだよ】
では何故殺さない。
【言ったでしょ、標本だって】
いい趣味だな。
【いやいや、僕が生まれてから初めてだよ?人間に興味を持ったなんて】
光栄だ。
【そうそう、光栄に思うといいよ】
どうせ、逃げれないんだ普通に話をさせてくれ。
【いいよ♪】
【ツクヨミは空間に部屋を作った、ネオンの光、床は白と赤のタイル、ナイトクラブのバーをイメージした部屋だ】
「……」
【目の前には先程のツクヨミがセクシードレスを着て居た】
「……最後は余計だ」
「君も男の子だからね、こう言うのに興奮するでしょ?」
「……ふん……」
正直、興奮しないと言えば嘘になるが、それを言葉に出したくはない。
「言葉に出さなくても僕にはわかっちゃうけどねー」
…………
「飲むかい?」
「……お酒は飲まない」
「大丈夫大丈夫、君が弱いのは見てるから知ってるよ、だからちょうどいいくらいのものすごい弱いお酒」
「……」
「お、飲んでくれるんだね」
俺は出されたお酒を飲んだ。
「……!」
「どう?」
美味しい……お酒で美味しいと思ったのは人生初かもしれない。
「ほんとにー?えへへ、初めてを奪っちゃった」
「……何が嬉しい」
「嬉しい?……僕が?……ふーん、この感情が嬉しい、か」
?、何を言ってるんだ。
「あ、気にしないで?……それより、これから先どうする?この世界での最初の女と男だけど……エッチして子供でも増やしちゃう?」
「……下品だな」
「ごめんごめん、これでもそっちに合わせて柔らかく言ったんだよ?繁殖としか思ってなかったしね」
「……どうして今頃干渉して来た」
「うーん、それは秘密かな、詳しくは言えないけど1つ言うなら______世界がもうすぐ終わるから最後の晩餐みたいなもの?」
「……世界が、終わる?」
「うん、これ以上は言えないよ〜、言ったら【神】に僕が操作されちゃうから」
「……この世界ではお前が神じゃないのか?」
「僕よりもっと上の次元の神だよ、君がここに入った事で覗き見れる様になったみたい」
神……もしかしてだが、こいつが言っている【神】とは今も尚、呼べばいつでも俺の手元に来るであろう武器を貸してくれる神か?
もしも、そうなら……
「うん、君の使う最大の技【神斬】を使えば僕も倒せるしこの世界からも出れるよ」
「…………やけに素直に教えるな」
「サービスでもうひとつ教えちゃう、その技を使えば君は魔力が無くなる、さらには【ナオミスペシャル】だっけ?あの状態からじゃないと撃てない、魔神を倒すまでに全てを出し切っちゃった君は動かなくて外の魔族や魔物に殺される」
それが狙いか。
「まぁね、あの魔神は君達を消耗させたい、僕は君をコレクションとして欲しい、利害が一致したから手を出させない様にした訳、傷物になっちゃ困るからね」
「……世界が終わるのに関係あるのか?」
「君は世界が終わる前に何もしないでボーッとしてるのかい?僕は違うな」
!?
身体が!
「僕はね、やった事ないことを終わるまでにしときたい」
何をするつもりだ?
「そりゃぁもう色々と♪」
また暗くなり、次に気がつくと俺は高級なベッドの上で拘束されていた。
「あぁ、やっぱり、なんだろう……見ていると何も思わなかったけど実際人間になってみると色んな感情があるね」
ベッドの横に立っているツクヨミはゆっくりと服を脱いでいく。
「恥ずかしい感情、嬉しい感情、独占したい感情、何もかもが新鮮だ、こんなのなら早く楽しめば良かった」
服を脱いだツクヨミは拘束されている俺の横に寝て身体を絡めてくる。
「体温、魔力……肌で感じるってこう言うことなんだね、さぁ……後は……」
「……」
「っ!?」
ツクヨミが何かを言おうとした瞬間、この空間にとって飾りでしかないはずのドアが“何かに斬られて音を立て崩れ落ちた”
「誰だ!ここに入るなんてどうやって……」
ドアの先にいたのは。
「てめぇ、なんだそのナリは…………ミーを差し置いてアニキに何してやがんだ!クソビッチがぁぁぁぁぁあ!」
身体中傷だらけ泥だらけのジュンパクが居た。
「……フッ、遅いぞ」
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