第357話 逃げた先は
幼いユキ達をレストランに連れていった男三人はニヤニヤと下品な笑みを浮かべながら話しかけていた。
「ねーちゃん達ほんといいスタイルにいい顔してんな?え?」
男はそういってユキの腰に手を回して軽くお腹をいやらしく撫でる。
それに不快感を感じながらもユキは我慢してユキの中の大人の話し方で対処する。
「そぅですぅー?」
「その変な話し方も含めてエロいぜ」
「(変な話し方だったです!?)」
ユキ達はどうにかどこかで逃げようと考えてる中、店員がグラスに注いだお酒を持ってきた。
「どうぞ、《タオツー》でございます」
「おお!来たぜ!お前ら!かんぱいだー!」
「「おおー!」」
ユキとミイは目の前のお酒に手を出そうとしない......それもそうだ、これがお酒で子供が飲んじゃ悪いものと言うのは二人とも承知してる。
「おい?どうした?乾杯だぞ?」
「そ、そうねぇですぅ......」
「う、うん......僕も......」
「よーし、みんな持ったな?それじゃぁかんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
「か、かんぱいです......」
「かんぱい......」
意を決して飲もうとした瞬間。
「あなた達、ここで何してるんですか?」
「あー?なんだてめぇ」
大人になったユキ達より身長が低く、黒髪ショートの少女が話しかけた!
「あなた達には聞いてません、それにその手」
少女が指差したのはユキの腰に手を回してる男の手。
「不快です、離してください」
「あぁ?てめーには関係ねーだろ!チビ!」
「あ?チビ?」
少女の逆鱗に触れたのか少女は男を睨み付けて怒鳴る。
「誰がチビだガキ!少なくとも私はあなたより歳上です!それに関係あるんですよ!その子に関しては!だからその汚い手を退けろください」
「おいおいみんな聞いたか!こいつ俺たちより歳上だってよ!ギャハハハハハおい、お前そういやさっき文句いってたろ?こいついれたら一人増えてみんなハッピーじゃん、ナンパしてみろよこのお姉さまをギャハハハハハ」
「あーしゃーねーなー、ま、軽く俺のナンパテクニックみせてやるかー」
「......」
席を威嚇するように音を鳴らしながら立って移動し少女の目の前に行って男は見下ろし鼻で笑う。
「俺達より歳上なら是非手解きを願いたいねー?お姉さま?」
そこまで聞いて少女は限界だった。
「良いでしょう」
「!? うお!」
少女は男の手を掴んで軽々しくひっくり返し、男は気が付くと仰向けに倒れていた......
「お店に迷惑がかかるので派手にするのは手加減しときました、お皿など割ると面倒ですからね」
「っ!てめー!」
「どうしてこう、冒険者の方は性欲がむき出しな人が多いのでしょう、ヒロユキさんを見習ってくださいまったく......」
立ち上がり少女に襲いかかった男はまた音もなく倒される。
「変態はあのパンティー野郎だけで充分なんですよ」
「何ブツブツ言ってやがる!お前らも助けろ!」
「お、おういくぞ!」
「相手はガキ一人だ!」
「フン!相手は三人程度、どうってことありません......さぁ、いくらでも相手してあげますかかってきなさい」
男三人は少女に襲いかかっていくが少女の強さは別次元だった......そしてこの隙をもちろん幼いユキとミイは見逃さなかった!
「(今です!ミイちゃん!にげよ!)」
「(う、うん!)」
「あ!ちょっと!」
二人は走って店を出ていくのを少女は見かけて声をかけるがそのまま走っていってしまった。
「まったく......本当にヤンチャなんですね」
「ジュンパク!ヒロユキさん!起きてください~」
少女は男三人の攻撃をさばきながら二人の方を見るが
「あれ?」
先程まで座っていた場所には一人しかいなかった......
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暗闇の中をユキは走る......
「ミ、ミイちゃん!はやくです!」
後ろに相方が付いてきてくれると思って......
しかし、
「こ、ここまで来れば、もうだいじょ......」
ユキが振り返るとそこは見覚えの無い一本道だった。
「ど......どこですか......ここ」
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