第81話 オシャレの食べ物?の国?

 《数日前 ナルノ町》


 この時期ナルノ町ギルドの転移ポータルは24時間ひっきりなしに稼働している。

 

 「ヒロユキさん!来ましたよ!オシャレな食べ物の国!ミクラル王国!」

 

 見た目が中学生くらいの黒い魔法使いローブを着た黒髪ショートの女の子はテンション高く一緒に来たパートナーに声をかける。


 「......人が多くてめんどくさい」


 「もぅ!ホントにそう言う所ですよ!」


 少女__ユキはプンスコと怒って頬をふくらませた。


 「......(そう言えば前の世界では兄さんも一緒に旅行してたな......兄さん曰く「旅行ってのは計画をたてないとそこら辺に行ってるのと同じだが計画をたてると旅行した気になる!後はなんとなくその土地のお土産を買って帰れば満足!」とか言ってたな......兄さんもこの世界に来ていたら......兄さん兄さん......)」

 

 「もしもーし、ヒロユキさん?聞いてます?」


 「......聞いてなかった」


 「何を考えてたんですか一体......とりあえず宿、探しません?」


 「......予約してなかったの?」


 「うぐ......こ、今回の依頼を聞いたのがつい先週でその頃にはもうここら辺の宿は予約でいっぱいでした、なのでギルドの人に話を聞いて冒険者専用の宿など空いてないか聞いてみます」


 そう、ヒロユキ達は依頼でこの国に来ていたのだ。


 ミクラル王国ナルノ町近くの火山地帯に住む【フレイムマルク】討伐依頼である。


 「......解った。」


 「とりあえずヒロユキさんはそこら辺に座っててください、私がギルドに行って色々してきます」



 そう言って「あ痛」と人にぶつかりながらギルドへ入って行った……


 「……背が低いから気付かれないのか」





 ____手続き終了後。






 「こんなとこしかなかったです......」


 ユキ達は町外れの見るからにボロボロな宿屋に来た。


 「......これくらいがちょうどいい」


 「何言ってるんですか!私のお母さんが言ってました、お金がある時はパーっと」


 「......使え?」


 「そうです!」


 「......(ユキの母さんの理論......兄さんの理論に似ている気がする......むしろ、そう育ってるからこそユキと一緒に俺は居れるんだろう......それに時々考えなしに突っ走って行く所とか兄さんに似てる。)」


 「とりあえず、ギルドに聞いたんですけどどうやら火山地帯に行くにはこの町の町長ブールダさんの許可が出るまでは行けないみたいなんですよ?」


 「......うん」


 「ですが、今のタイミング色々忙しいみたいで四日後らしいんですよ」


 「......うん」


 「なので!それまでは!」


 「......それまでは?」


 「ここまで言えば分かるでしょう!ニューイヤーフェスティバルを楽しみましょう!」


 「......楽しんでくるといい」


 「もちろんヒロユキさんも行くんですよ!」


 「......うぇえ...」


 ユキはウキウキらんらんと文字が体から出てきそうなほどテンション上がりながらヒロユキを引いて町へ行くのであった。


__________________



____________



______


 「ナルノ町!到!着!とりあえずヒロユキさん!お腹が空いたので食べ歩きましょう」


 「......それが目的か」


 相変わらず食べることが好きなユキ。


 「そ、そんなことないですよ~、ほら!ヒロユキさんあれ見てみて!【マタルポッツ】のお肉をあんな風に調理してますよ!」


 「......あれは、ケバブ?」


 「ケバブっていうんですか?あのまわってるお肉にかじりつきたいです!」


 「......兄さんが言ってたけどあれは味付けした薄切り肉を重ねているらしい、詳しくはしらないけど」


 「ほええぇ!この香り!よだれが止まりません!」


 「......あとちなみにあれにかじりつける訳じゃない」


 「ええ!?あれ違うのですか!?」


 「......あれから切り取ってナン?ぱん?に挟む」


 「サンドイッチみたいなもんですか?なるほど、詳しいですね?」


 「......兄さんが食べたいって言ってた」


 「最近よくお兄さんの話しますね?」


 「......そうか?すまなかった」


 「いえ、いいんですよ?私がお母さんの話をするのと同じ感覚なんでしょう、お互いに尊敬する人の話が出来てむしろ類友ってやつです!買ってきまーす!」


 そういいながらユキはケバブを屋台から買ってきた。


 「ヒロユキさんヒロユキさん!《クバブ》って言うみたいですよ!」


 「......少し違うのか」


 ユキはクバブにかぶり付く......シャキッと良い音がしてユキの口の回りにソースがつくが気にせずパクパクと行く。


 「ん~♪おいしいです、この食べたときのフワッとしてさらにこの《ルタス》のシャキッとした感覚に噛むごとに滲み出る味、二回噛んだら口の中がよだれまみれになりすぐに飲み込んでしまう!あー......しあわへぇ」


 すごい顔をしてユキはクバブを食べていくのを横目にヒロユキも一口食べる。


 「......うまい(......兄さんにも食べさせてあげたいな......兄さん......)」


 そして、先程からユキ達をミクラルの通行人はチラチラと見ていてヒロユキはその、視線が気になっていた。


 「......ユキ」


 「はい?なんですか?」


 「......さっきから俺達が見られてるのはなんで?」


 「ん?あぁ、私は気にしませんでしたが気になります?」

 

 「......少し......あんまり見られるのは好きじゃない」


 「たぶん服装ですよ、ほら、私たちっていつでも依頼に行ける様に私は魔法ローブをヒロユキさんは鎧の下に着る簡易的な服を着てるじゃないですか?ここはオシャレの国ですから装備は装備、服は服。そう徹底されてるんですよ」


 「......なるほど(オシャレな食べ物の国ってさっきユキは言ってたような?)」


 「うーん......そうだ!せっかく来たんだし服かいましょ服!」


 そういってユキはキョロキョロと周りを見渡す。

 






 「あ!見てください!ヒロユキさん!」



 ユキは指を指す、その先には




 「《ゴールド》って服屋がありました!あそこで買いましょう!」


 


 

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