異世界に転生したら女になっていました！

第50話 『夢』

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　夢っていうのはおかしな物よね。

　「これがクリスタルドラゴンか！」

　山よりも大きな美しいドラゴンの前に勇者パーティーの３人は立つ。

　「準備は良いか？リュウト！ヒロ！」

　「えぇ！大丈夫ですよ、タダシさん！」

　「……兄さんが良いならいつでも」

　「頼もしいぜ、2人とも大好きだぜ」

　そう言いながら【勇者タダシ】は背中に背負っていた大剣を構え走り出す。

　ものすごい勢いで彼が走った後には地面が軒並み抉れていた。

　「ガオオオオオオオ！」

　クリスタルドラゴンは火のブレスでタダシを焼こうとするが全く効いていない。

　「流石リュウトだ！援護助かる！」

　杖を構えドーム状の結界を展開してタダシを守った【勇者リュウト】

　「本当にいつも真っ直ぐ進みますね……命がいくらあっても足りませんよ」

　「お前が居るから一つでいいな」

　「全くもう……」

　再び走り出すタダシ。

　クリスタルドラゴンはまたもやブレスを吐いてくるが同じ様にリュウトからの援護で全く効かない。

　「ゴァァア！！！」

　ブレスがダメだと察して次にクリスタルドラゴンは自分の美しい翼を羽ばたかせ周囲に突風を発生させ、その硬い鱗を乗せて飛ばしてきた。

　「リュウト！」

　「ダメです！あれは噂に聞く魔法無効の鱗！まさか防御手段じゃなくてこんな攻撃手段に使われるなんて！」

　「フッ、慌てるなリュウト、俺たちにはアイツがいる」

　襲いかかる無数のクリスタルの鱗。

　その全てを刹那の一閃が全て粉々に砕いた。

　「……兄さんに触れさせない」

　「ナイスだ弟！」

　その技を使った正体は【勇者ヒロユキ】

　彼は太刀を納刀し次の技を構える。

　「……【獄門翔・風切り】」

　瞬間、周りの突風が消え去った。

　「……俺に斬れない物はない」

　「流石だぜ弟！」

　「……後は頼んだよ兄さん」

　「あぁ！」

　彼の速度は勇者リュウトの魔法のバフ効果もありどんどん加速し＿＿

　「スーパー仮面ライダーキーーーーック！」

　クリスタルドラゴンの胸に勢いを殺さずキックをお見舞いした。

　「！？ガオオオオオァ！？」

　クリスタルドラゴンは体勢を崩して仰向けに倒れる。

　「行くぞクリスタルドラゴン！俺の必殺！」

　そのまま彼は高く飛び大きな剣を天高く掲げる。

　すると周りの光が彼の剣に集まり超巨大な光の剣となった。

　「【オーバーエネルギーソード】オオオオオオオオ！」

　思いっきり振り光の剣は見事クリスタルドラゴンの首を斬り落とす！

　「よっしゃぁぁあ！」

　「やりましたねタダシさん！」

　「……流石兄さん」

　「あぁ！みんなのおかげさ！」

　勇者３人は勝利を喜び、見合わせる。

　「さぁ！帰って王様に伝えてパーティーだ！めちゃくちゃ飲むぞーー！」

　あぁ……なんて楽しいんだ異世界生活。

　なんて強いんだ自分。

　全て思い通り。

　全てアニメや漫画と同じ。

　素晴らしい。

　＿＿＿＿＿＿＿＿そして……“彼女”は夢から目覚める。

　「……………え」

　そんな彼女の手にはベットリと血が付いていた。