第15話 序列1位と序列4位
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午後の異能力実技の授業。
総当たり戦に入る前に
まず日程について。
大会は4月26日から5月5日までの10日間にわたって行われる。
対戦形式は勝ち抜きのトーナメント戦で、対戦表は大会前日の4月25日に張り出される。今日が4月16日なのでもうあまり時間は残されていない。
次に場所について。
1学年の生徒154人が戦うことになる今大会。試合数だけでもとんでもない数になることは容易に想像できる。
そこで会場を複数に分け、同時進行で行うらしい。グラウンドAB、大会用に改造された体育館CDの合計4箇所で熱いバトルが繰り広げられることになる。
予選の段階で注目カードが重なっていたらどちらかの対戦が見られないという事態も発生しそうだ。
そして、バトルを勝ち抜き決勝まで駒を進めると、なんと学校が保有するドームで戦うことになるという。これを予選に対して本戦と呼んでいるらしい。
ドームを所有しているというだけでまず驚きなのだが、当日は観客席に上級生や予選敗退者が大勢入り、観戦できる仕組みらしい。
これでは上級生に異能力が筒抜けになってしまう。
まあ上位に入るほどの実力者は、例え異能力がバレていてもそれほど影響が無いのかもしれないが。
大会を盛り上げるためのシステムなので、オレがどうこう言う話じゃない。
最後に、大会と言えば優勝賞品などの景品についてだ。
ソロ序列戦にも当然優勝賞品がある。
先週、大教室でも説明があったが優勝者にはバトルポイントが支給される。そのポイント数を聞いた瞬間、多くの生徒が言葉を失った。
3000バトルポイント。それが優勝者への景品だった。
優勝者以外にも準優勝が2500バトルポイント。3位が2000バトルポイント。4位が1500バトルポイント。5位が1000バトルポイント。6位が500バトルポイント。7位が250バトルポイント与えられるということがわかった。
その他にも優勝賞品に比べると微々たるものだが、バトルを勝ち抜く毎にバトルポイントが貰えるようだ。
現時点で特待生が所持しているバトルポイントが100ポイントだから、大会で7位以内に入ることができれば一気に逆転するチャンスがある。
とは言っても、当然上位には特待生が絡んでくるに違いない。
ソロ序列戦についての内容はこんなところだ。
総当たり戦後、頭の中で大会について整理しながら喉を潤すべく1人で自動販売機へ向かう。
今日の総当たり戦は4戦全敗。その中には明智と千代田との対戦も含まれている。
これで少しはオレへの見方が変わったはずだ。
「えっと、どれにするか」
スマートフォン片手に自動販売機の前で狙いを定める。
やっぱり運動の後はスポーツドリンクに目が吸い寄せられるな。
よしっ。オレがボタンを押そうと動き出した瞬間、横からスマートフォン読み取り口に手が伸びてきた。
「あっ」
思わず声が漏れる。それも無理はない。オレが買おうとしていたスポーツドリンクが売り切れたのだ。
「おっと、すまない。もしかして君もこれを買うつもりだったのかな?」
「まあ……でも大丈夫です。別なのにするんで」
別に飲み物はスポーツドリンクだけではない。
横入りされたのはちょっと常識的にどうかと思うが、声の主の姿を見てその点について指摘することをやめた。
「悩んでいる様子だったからつい。割り込むような真似をして悪かったな」
生徒会長の
「会長は謝らなくていいんです。会長には時間が無いんですから。自動販売機の前でいつまでも迷ってるそこの1年生が悪いんです」
青髪長髪の女、確か生徒会書記の
「おい滝壺、何もそこまで言わなくてもいいだろ」
「こうして話している時間ももったいないです。放課後には下剋上システムによるバトルの申し込みが入っているんですから。相手は新入生の
「そうカリカリするな滝壺。折角の美人な顔がもったいないぞ。忙しいのはいつものことだろ」
馬場の言葉を聞き、滝壺の頬が薄っすらと赤く染まる。
「会長が私のことを美人って」
滝壺が馬場に背を向け、両方の手を頬に当てた。
一体オレは何を見せられているのだろうか。それにしても2人の会話の中に気になる内容があったな。
「あ、あの、会長との会話が聞こえてしまったんですけど、1年生の浮谷と戦うんですか?」
「ああ、昼休みに突然彼が生徒会室にやって来てな。何か用かと訊いたら俺と勝負しろと言ってきた。今時ああいう威勢のいい奴もいるんだな」
「会長にあんな口の利き方をするなんて、失礼にもほどがあります」
「いつまで怒っていてもキリがない。もう過ぎたことだ。後はバトルでぶつけるとするよ」
「会長はいつもお優しいですね」
滝壺は呆れからかそう言って溜息をついた。
「序列7位以内の者がバトルをする時はドームで行うんだ。よかったら君も見に来てくれ。えっと、まだ名前を訊いて無かったな」
「
「そうか。神楽坂、もし時間があったら来てくれ」
「いいえ、時間が無くても来なさい。異能力者育成学院序列1位の会長が戦う姿なんて滅多に見ることが出来ないんだから」
「わかりました」
滝壺の圧に負けて頷いてしまった。
まあ、放課後の予定も特に無いし、序列1位の実力がどんなものなのか自分の目で確かめておきたい。
浮谷が相手では、バトルになるかどうか怪しいところではあるが。
「それじゃあ、横入りして悪かったな」
馬場がスポーツドリンクのラベルをオレに見せて薄っすら笑うと、滝壺と並んで校舎の中に入って行った。
まさかこんなところで学院の序列1位と序列4位と知り合いになるとは。
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