02
小さなパン屋minamiは、琴葉の父親のこだわりの店舗だ。
オープンなスペースではなくショーケースから選ぶスタイル。それは衛生面だけでなく、客とふれ合い生の声を聞きより良い店作りを目指すという、お客様に寄り添ったスタイルなのだ。
父がパンを焼いて母が接客をする。
琴葉はその手伝いをしていた。
将来は自分もパン屋になる。
父親の後を継ぐという意味は全くなく、父のような温かいお店で美味しいパンを提供したいという、そんな純粋な夢だった。
パンの専門学校に通う傍ら、店に入るときは父からも学び、愛想のいい母からは接客の仕方まで習った。
専門学校を卒業したら父の店で働くか、それとも外のパン屋に就職するか悩んだ。父からはここでそのまま働いていいと言われていたからだ。
けれど琴葉は、外のパン屋へ就職することを選択した。
自分の家以外のパン屋で修行を積んで、見聞を広げたいと思ったからだ。
そんな想いであくせく働きだした頃、予想だにしない事態が起こった。
両親が亡くなったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます