第19話 天上山

ある日ある時

標高数百メートルのこの山の上から

世界を見た人がいた

この山に登って

ここが世界のてっぺんだと思った人がいた


この山の上で

あの海の向こうに

もっと大きい山があると思った人がいた

世界はこんなものではないと思った人がいた

小さな島の小さな山のてっぺんで

ああ

どんなに

海の向こうの世界に憧れたことだろう

今ものここに残る

若者の憧れが

痛い

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