第15話

 何度も何度も見直したが、仁のアドレス、LINEも全部消えていた。

 なんで?

 これももしかしてあいつの仕業なの?


「ねぇ、茜、遠隔操作みたいなので、人のスマホの電話帳とかも自由に出来たりすると思う?」


「さぁ、わかんないけど、流石にそれはスマホを触らないと無理じゃない?何かあったの?」


「仁のアドレスが消えちゃったの」


「仁って?」


「彼氏の黒崎仁。茜も何度か会った事あるでしょう?」


「黒崎仁。。ごめん。覚えてない」


 何度か話した事があったと思うけど、人の彼氏の事、いちいち覚えてないか。。

 違和感はあったものの、葵は少々強引に自分を納得させ、とりあえず自分の部屋に入った。


 部屋に入った途端おかしいと気付いた。

 あれっ?

 仁がくれたぬいぐるみがない。。

 なんで。。。


 あっ、まさか。。。


 でももしかして。。。


 スマホを取り出し、写真を全部見てみる。。。

 と、消えてる。。


 仁が写ってる写真。

 仁と一緒に行った想い出の場所。

 仁に関わるものは全てが消えていた。


 もしかして。。仁と付き合ってない世界に来ちゃったの?


 嫌だ。。

 そんなの認めたくない。。

 仁のいない世界になんて、今更戻りたくないよ


 そうだ。


 明日会社に行って仁に会ったら、きっと大丈夫。

 とにかく今は仁に会わなきゃ。。


 お願い。


 早く。。早く明日になって。。


 葵は心配のあまり一睡もしないまま、朝を迎えた。

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