第77話 今後のお話。
「まずは全員魔力持ちと言うことなので、この後すぐに属性検査をさせてもらうよ」
待ってました!
そういえば、どうやって属性検査するんだろう?
相性が1から10までの評価で数値化されるの。
(今考えると、RPGとかファンタジー系のゲームっぽいよね)
同時に魔力も測れるんだけどね、認識が少し違う。
ゲームだと魔力や精神力っていうパラメーターが威力として、MPとかSPみたいな項目は、その魔法の使用回数として。
こっちの世界での概念としてはそうだなぁ……最大MPがそのまま魔力の強さという認識になってる。
魔法の使用時に、自分の持っている魔力をどれくらい込めれるかで、威力が変わるから。
だから、こちらではMPに相当するものの最大値が高い人ほど「魔力が高い」と言われる。
「本来であれば王子達の魔法のお勉強開始は、4歳、つまりレオンハルト王子が開始するところなのだけど、今回はシュトレイユ王子も同時に開始とします」
「わぁ!いいの?!」
ぱぁっと花が咲いたように、可愛らしい笑みを浮かべて目をきらきらと輝かせているシュトレイユ王子。
王族って3歳まではほぼ軟禁状態みたいだから。
王子を守るためなんだけどね。
レオンハルト王子が4歳になって、魔力測定会に始まって王家の参加する行事などにも参加をし始めるのを見ていて羨ましかったんだろうなぁ。
「……非常事態と言うことで特例だけどね。その代わり、シュトレイユ王子はお勉強の時間が増えるから、頑張るんだよ?」
「……はい」
3歳までは王族としてのお勉強がいっぱいあるみたいだから、それと同時進行で魔法も習うってのは大変だと思うんだけどね。頑張れ!シュトレイユ王子!
「エルネスト君、君は4歳でレオンハルト王子と同じ歳だから、学園入学までは魔法の勉強を一緒に受けてもらう。その間の衣食住の保証は……本当は安全確保のために王宮にいて欲しいのだけれど……国として個人を援助する、という動きができないんだ。なので、ガレット公爵家が君の保証そして後見人となる」
「頑張ります」
エルネストが真剣な面持ちで返事をする。
あぁ、だからガレット公爵家に一緒に帰れるって、言ってたのか。
歳の近いお兄ちゃんができたようなものだね!楽しみ。
「ユージア君もガレット公爵家が後見人として申し出ているんだが……スルーズヴァン辺境伯の子息なんだから「嫌です、ガレット公爵家でお願いします」」
「絶対にスルーズヴァン辺境伯には戻りません。ガレット公爵家でお願いします」
守護龍の声に被せるように、必須にガレット公爵家に来ることを主張してる。
王都に帰ってきてから、ずっとこんな調子なんだけど……
「……好きにすれば良い。ただ一つだけ。ユージアは…一応長男ではあるが、スルーズヴァン辺境伯を…継ぐ事はできない、という事だけは、伝えておく。名乗る事は構わない。
「それは、どういう意味……?」
勘当とか、そういう類のものなのかしら?
ユージア自身もびっくりした顔をしているので、不安になって、ハンスイェルクを見る。
ハンスイェルクは何かを否定するように首を横に軽く振ると、説明を続ける。
「エルフは長寿だからね。スルーズヴァン辺境伯の当主はすでにユージアの姪孫が継いでいる。……それだけ長く、教会に囚われていたという事だ」
(姪孫って……えっと、自分の兄弟の子供が『姪っ子、甥っ子』で、その『姪や甥の子供』が姪孫だった気がする)
ん?待てよ?ユージアが教会に捕まったのが3歳くらいで、その兄弟が成人が15歳、こちらの世界では20歳くらいには子供がいることが多いから、20歳の時の子と考えて……。
兄弟が成人し、20歳で子供(甥、姪)が生まれたとして。
その甥、姪がさらに20歳で子供(姪孫)が生まれたとする。
その姪孫が15歳で成人して、家を継いだ。
軽く50年以上教会に……って事だよね。
あれ……エルフの50歳って…もう大人だよね?あれ?
「ユージアってお爺ちゃんなんだね」
「まだ若いからねっ!?そんな言ったら、そこの僕の父親なんか…ば…って!痛いよ!」
こつ、と音が、と思ったら、ユージアのおでこに角砂糖がいくつか衝突していた。
ハンスイェルクの席にあった角砂糖が、ユージアに向かって飛んできていた。
その様子を思いっきり目撃してしまったのか、レオンハルト王子が紅茶を吹きかけ、激しくむせて、顔を真っ赤にしているのが見えた。可愛い。
「現在の当主は私の曾孫……ということになるね。エルフとして生を受けたのはユージアだけだったんだ」
ハンスイェルクは、何事もなかったかのように、しれっと説明を続けている。
そうそう、遺伝の不思議ってやつだね。
エルフと人間の混血は、いろいろ混じった特性の子供が生まれるのではなくて、両親のどちらかの種族として…人間かエルフ、ハーフエルフという、種族の特徴をはっきりと持って生まれてくるんだって。
他の種族とでもそうらしいんだけど、つまり、ユージアのお母さんは人間だったって事だね。
「……では、ユージア君もガレット公爵家が後見人ということで。早速だけど、明日の朝から予定通りに養成所へ通うように」
「養成所?」
王家や公爵家のような貴族の中でも上位にあたる家へ、花嫁修行の一環で
そういう人たちは、貴族と街の人たちとの生活の違い、習慣や……もちろん言葉もだけど、そういうのを最低限のレベルまで上げる学校である。
養成所を修了しているという証書があれば、スタッフとして雇われやすいし、雇う貴族側からしても、安心できるんだよね。
「使用人としての一般的な仕事内容や最低限のマナーを習う学校だよ。修了後はガレット公爵家の…セシリア嬢付きの執事になってもらうと聞いている。それとともに、戻り次第、ユージア君も魔法の勉強に参加してもらう」
「頑張ります」
ユージアは守護龍に向き直り、軽く会釈で返事をする。
おでこが……四角く赤くなっていた。
ハンスイェルク……もう少し手加減してあげて!
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