幸運を集めよう

@Black-Butterfly

第1話

年金定期便が届いた。

「現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定しての見込額」が、年間約120万円とあった。


え?

まって。

こんなに働いてるのに?

自由奔放に生きてきて、自分で年金を収めたことがない母よりも60万円も少ないの??


私は驚いた。


私の母は、年金はおろか税金だってまともに収めたことはない。

だから本来は年金は貰えないはずなのだ。

それが今はちゃんと貰えている。

40歳を過ぎて再婚した相手の残してくれた遺族年金だ。


当時、私以外の兄弟は母の再婚に反対した。

離婚した父への慕情とかではなく、単に「その年齢でみっともない」と言ったのだ。


しかし私は賛成した。


いいんじゃない?

母さんの人生はまだ半分以上ある。

一番下の妹も、あと数年で独立するだろう。

その後に一人きりになるよりは、ご縁があるなら結婚したら?


そして母は再婚し、今は遺族年金で暮らしている。



なんて私は幸運なのだろう!

もしそれが無かったら、私はもっと働かなくていけないはずだ。

自分の生活と母の生活を守るために、昼夜を問わず働いて、

お互いに不自由な思いをして同居をしていただろう!

それがどうだ。

見事に、その鎖から解き放たれている!!


明日の私の心配は、明日の私がすればいい。


今日はとにかく、この幸運を楽しもう!


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