序章 第3章 夏休み
第21話 学期末試験 1
野外演習の授業より4ヵ月が経った。あれ以降は大きな事件も無く何気ない日常が過ぎていった。クラスの皆とも少しづつ打ち解けていき仲良くなっていった。
そして、一学期がもうすぐ終わろうとしていたある日。午後の実技授業が無くなり教室での授業となった。俺達は、ミシェル先生が来るのを待っていた。
「なんで今日の実技授業無くなったんだろうね?」
朝のホームルームで今日の実技の授業を行わずに教室にいるように伝えられていた。シェリーはそれを少し疑問に思っていたのか俺に聞いてきた。
「何かの説明があるかもしれないよ。もうすぐ今学期も終わるから何かあるのかもね。」
俺がシェリーに伝えると、
「何かって何よ。」
突っ込んで聞いてきた。それに、俺が答えられずにいると、教室の扉が開く音がするとミシェル先生が入って来て教壇に立ち話始めた。
「では午後の授業を始じめます。本日は、の授業は学期末試験についての説明です。」
先生はそう言うと学期末試験について話始めた。学期末試験は筆記試験と模擬戦の2種類の試験が行われる。1日目は筆記試験で終了となり2日目から模擬試験のトーナメント戦が行われる。模擬試験では、Aクラスのトップ5がシード扱いになり3回戦からのスタートとなる。この順位は入学試験の成績で決まる。
この試験は1対1で行われて、相手から1本取るか、場外に出すか、参ったと言わせれば勝ちになる。最終的に筆記試験の成績と、模擬試験の成績で1学期の総合成績が決まる。
説明が終わると、トーナメントでのシード生徒の発表が行われた。俺もシェリーそれにヒョウカもシードの5人に選ばれた。
「最後に、今回の学期末試験での成績で2学期のクラスが替え行われます。順位を落とせばBクラスへ落ちることになりますので心しておいて下さい。」
それだけ言うと、残り時間は自習となり本日の授業が終わった。
寮へと帰る途中に、
「ケンイチ試験勉強しない。?」
シェリーから勉強しないかと誘われた。俺も1人でするよりも皆でする方がいいかなと思い誘いを受けた。
「私も一緒にいい?」
横からヒョウカが聞いてきた。
「いいに決まってるでしょ。」
何故かヒョウカの質問に答えたのはシェリーだった。確か俺が聞かれたのでは無いのかと思ったが俺もシェリーと同じ気持ちだったので何も言わなかった。
それから寮へと帰り俺の部屋へで試験勉強を行うことになった。1人が他の2人に対して問題を出しそれを答えていく形で行われた。
学期末試験の勉強を始めてから3日が経った。今日は、学院にある闘技場の使用許可が貰えたので模擬試験の練習をしようとシェリー達と一緒にやって来ていた。
「ケンイチ模擬試験の練習はいいけどここで何をしようって言うのよ。」
闘技場にやって来たシェリーは、俺に質問してきた。
「今日は俺が2人の相手をして、その後に反省会をします。」
「ケンイチ君が1人で私達2人の相手をするの?」
「そうだよ。でもさすがに1対2は無理だから、1対1を2回する形になるけどね。」
ヒョウカとシェリーは俺の言葉を聞いて何かやる気に満ちた顔になっていた。それから、どちらの相手をしようか迷っていると、
「最初は、私と戦って。」
シェリーが自分から戦いたいと言ってきた。ヒョウカの方を見ると彼女もそれでいいと言いたげな顔をしていたので、俺はまずシェリーから相手をすることにした。ヒョウカには審判役をお願いした。
今回の模擬戦のルールは、先に1本取るか、参ったと言わせたら勝ちで魔法有りで行うことになった。
俺とシェリーは、お互い距離を取って向かい合うと、
「模擬戦始め!!」
ヒョウカの合図で模擬戦が始まった。俺は開始と同時に魔力察知を使った。この魔法は、相手の魔力の流れを見ることが出来る魔法である。
最初に仕掛けたのシェリーの方だ。得意の火魔法のファイヤーボールを5つ展開して俺に向かって放ってきた。
「ファイヤーボール5つも展開するなんて凄いな。」
「どうよ。これが私の実力よ。」
シェリーは胸を張って俺に言ってきた。だが俺は、魔力察知で魔法攻撃を仕掛けてくることが読めていたので、剣に魔法反射の付与をして全てのファイヤーボールを切り裂いて打ち消した。俺はそのままの勢いでシェリーに向かって行った。
「ウソでしょ。剣で魔法を切り裂くなんて反則よ。」
シェリーは、俺が剣で魔法を切り裂くのを見て叫んでいた。だが、俺が迫っていることに気づいたシェリーはすぐに魔法を放つ準備を始めた。それに気づいた俺は、強化を使いスピードを上げ、シェリーが魔法を放つ前にふところへと入り軽く剣を当てた。それと同時にヒョウカから模擬戦の終了が告げられた。
「負けた~~!!」
シェリーは模擬戦が終わると、叫びながら地面にうつぶせに倒れてしまった。俺は、彼女に手を伸ばして、
「ありがとう。」
口をとがらしながら、俺の手を取った。俺はシェリーを引っ張り起こした。審判をしていたヒョウカも俺達のそばまで来ていた。
「よし。じゃぁ次ヒョウカとの模擬戦始めよっか。」
俺はそれだけをヒョウカに伝えた。彼女は俺の言葉に頷いて、俺との距離を取った。シェリーには審判をお願いした。
そしてシェリーの合図でヒョウカと俺の模擬戦が開始されるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます