精霊契約

第71話 小人の国に向かった

猫の王国、王都キャルベルで、スタンピードを収めた俺達は王都を出た。


雷猫のライガさんと俺達の部屋担当の執事ダルクさん、メイドのメルさんに土下座で頼まれた。


「どうか、今回だけは七猫を見逃して下さい。スタンピードで崩壊した王都で七猫までいなくなっては、王国は滅亡します」


お世話になった猫が安らぐ宿のオーナーのライガさんに土下座で頼まれちゃしょうが無い。


そして妖精の里に向かう事にした。

エリが契約する精霊を探すためだ。


エリは遠慮して後からで良いと言ってたが、戦闘力UPは必要だ。


妖精の里の近くに精霊の泉があるらしい、そこに様々な精霊が集まるのだ。


その中からエリと契約しても良いと言う精霊を探す流れ。


エリは前に風の精霊シルフと契約していたそうだ。矢を撃つのに風の精霊魔法が都合が良いとの事。


妖精の里に行く途中に小人の国があるらしい。


なので、小人の国に寄ってから妖精の里に行く予定だ。


俺とダルアは馬サイズのドラムに乗って、森を進む。


ペロは俺の影に沈んでいる。


エリとハルカはドラゴン型ガーゴイルに乗って後を付いて来る。


因みにエリがドラゴン型ガーゴイルに『ドラガ』と言う名前をつけていた。


そのまんまじゃん!


途中で魔物を狩りながら森を進むが、狩りをしない普通の冒険者達の速度より、かなりハイスピードだ。


各自魔物を探知しながら進むので、出会う魔物は俺の指弾かエリの矢、ハルカの風刃で瞬殺だ。


その後、ペロが影移動で倒した敵を影に収納し、俺の影に戻る。


その間も歩みは止めない。


迷宮攻略で俺とペロ、エリ、ハルカはレベルが飛躍的に上がったし、スタンピードでダルアのレベルも凄く上がっていた。


その為、レベ上げの必要性はあまり感じていないので、狩りはメインでは無い、あくまでも進行方向で行く手にいる魔物だけを狩っている。


「そろそろ暗くなってきたので、夕飯にしようか?」

そう俺が提案すると。


「賛成!僕が料理を作るよ」

とハルカが応えた。


他の皆も賛成の様子。


森の中でちょっと開けた崖の下で止まる。


俺達は魔道具で結界を張り、ドラガを見張りで警戒させる。


俺はアイテムバッグからアウトドアチェアを出した。


アウトドアチェアは折り畳み式、ダルアの提案でエリに作って貰った。


肘掛け付きだ。

ペットボトルを入れる穴も空いている。何に使うんだ、これ。

この世界にペットボトルは無いぞ。


ハルカは夕飯の準備を始めた。

俺はダルアと気功の訓練だ。


エリは狩った魔物の素材で回復薬や解毒剤等を作っている。


ペロは魔力探知で警戒しながら、それらを眺めてアウトドアチェアに座って休んでいる。


ドラムもペロの隣で横になっている。


「誰か来るにゃ」

ペロが俺に告げる。


「ん?」

俺はダルアの気功訓練を中断し、気配探知で周囲を探った。


「本当だ。ダル、気配を探ってみてごらん」


ダルアも気配探知を実行する。

「分からないなー」


「あっちの方向だよ」

俺は南側を指差す。


「んー。あ!分かったー」


エリもハルカもペロも魔力探知で誰が来るのか、その正体を認識したので、特に身構えもしない。


各自作業を継続している。


「ダル、誰が来るか、分かるかい?」

「うん。モヤジーさんだー」


「正解」


小人の情報屋モヤジーがリスに乗って木の上から現れた。


「こんばんは、モヤジー」

「よお!ショータさん達、進むのが速すぎるぜ」


「ドラゴンに乗ってるからね。それよりどうしたの?」


「シャルからショータさん達が小人の国に向かってると聞いて、同行させて貰おうと思って追ってきたぜ。俺も小人の国に向かうので同行させて欲しい。強いパーティーに同行出来ると道中が安心安全だ。勿論、護衛の報酬も払うぜ」


「同行して良いよ。冒険者じゃないし、猫の王国で世話になったから報酬は要らないよ」


「いやいや、猫の王国の事はビジネスだし、依頼には報酬が必要だぜ」


「じゃあ、小人の国の情報を教えて欲しい」

「小人の国を案内してにゃ」

俺とペロは同時に違う事を言ったが。


「了解、情報と案内でOKだぜ」

モヤジーと交渉成立した様だ。

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