第61話 雷猫と話した
スタンピードの
「ショータさん、有難う。助かったよ。シャルの兄、ライガだ。猫が安らぐ宿のオーナーをしてる。トロルは再生能力が高くて苦戦していた。踏み留める事で精一杯だったよ。しかし、あれだけの数の魔物を瞬時に倒すとは凄いね」
シャム猫のケット・シーであるライガはそう言って俺に握手求める。
俺はそれに応えて握手をした。
「ショータです。シャルさんのお兄さんですね。間に合って良かった。」
「妹も助けて貰って感謝するよ。私と妹の命の恩人だ」
「いえいえ、ニャルマル商会と猫が安らぐ宿には、いつもお世話になってます。こんなに居心地が良い宿は初めてです」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。食事はしたのかい? 取り敢えず宿で休んでくれ」
「そう言えば戦い続きで食事はまだです。お言葉に甘えます」
ライガは後方にいた武器を構えて一緒に戦っていた執事達を呼ぶ。
「ラルク、警戒を頼む。魔物が来たら通信の魔道具で連絡をくれ」
執事の中で1番ガッシリして体格の良い男が応えた。
「畏まりました」
「ドラム!ここに残って防衛だ」
「承知した」
「驚いた!ドラゴンかい? ドラゴンを使役してるとは、全く規格外だね。ドラム様、宜しくお願いします」
ライガはドラムに頭を下げ、そう言うと俺達を宿に案内する。
ドラムは得意気に応えた。
「儂に任せておけ」
こいつ、素材をダメにする癖に偉そうだな。後でお仕置きか?
ここでは何も言わないでおこう。
俺とペロとダルはライガに宿の食堂に案内された。
「闇猫のお嬢さんも有難う。助かったよ」
「ペロだにゃ。まだ闇猫は襲名していないにゃ」
「いやいや、トロルを瞬殺なんてお父さんのシュガにも出来なかったよ。二つ名に襲名は無い。実力が伴い誰かが認めれば良い。実力は充分だし俺が認めたからもう闇猫だ」
「えへ。有難うにゃ。父さんとは知り合いだったのかにゃ」
「昔、同じパーティーで冒険者をしていたよ」
「そうだったのかにゃ」
「お父さんの事は後で聞いたよ。何と言っていいか分からないが、良い奴を亡くしてしまったね」
ペロは無言で頷いた。
「そちらのダークエルフの女性の名前も、教えて貰っても良いかな?」
ライガはダルに名前を聞いた。
「ダルアだよー。う~ん。ショータの恋人兼弟子兼従者って感じー」
「ダルアさん、宜しくね」
「ダルって呼んでいいよー。宜しくー」
ライガは俺を向いて話し掛けて来た。
「命の恩人のショータさん達はいつでも猫が安らぐ宿の宿泊費を無料とさせて頂きます」
「いやいや、それは貰いすぎです」
「そんな事は無い。ニャルマル商会と猫が安らぐ宿で働く人達の命も助けて貰った」
「そうですか」
「ふふふ、シャル同様知己を得たいのですよ。ニャルマル商会の料理部門と提携してますので、恩恵を受けてます。新作料理も大好評なのです」
「分かりました。ご恩はいつか返します。でもこの都市からは近いうちに出ますよ」
「はははは、猫が安らぐ宿もニャルマル商会と同様、大陸全土に宿を展開しているので、大丈夫です。このカードがあれば何処の都市の猫が安らぐ宿にも泊まれるので、ご利用下さい」
ライガから猫が寝ている絵が描かれている黒いカードを貰った。
そして宿の食堂で食事を済ませた。
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