第50話 ニャルマル商会に向かった
迷宮『猫の穴』入口。
最下層地下100階のボスであるドラゴンのドラムを制した。
ドラムが命乞いしたので、従魔にしたのだが、その後、迷宮から放り出されて迷宮の入口にいた。
「ここは迷宮の入口か?」
「そうみたいだにゃ。」
小鳥サイズのドラゴンのドラムは俺の肩に駆け上がった。
エリの前にいた冒険者がエリを見て、「げっ!『疾風』だ。」
と思わず叫んで逃げようとした。
エリはムッとして、冒険者の後襟を掴み、ぶん投げた。
「二度とその名を口にする事を禁じるのじゃ。」
そう言って威圧を放つ。
投げられて尻餅をついた冒険者は脅えて何度も頷いていた。
俺達が進むと冒険者達が避けて道が開く。
俺達の前に門番が駆け寄って来た。
迷宮に入った時の門番とは別の人だ。
「『疾風』と『風刃』のお二人とお見受けしました。迷宮を攻略されたのでしょうか?ギルドマスターがお待ちしております。」
「迷宮は攻略していないのぅ。
人違いじゃろう。失礼するのじゃ。」
不機嫌そうに、有無を言わせず早口でそう言うと、エリは門番の脇を通り過ぎる。
俺達も後に続いた。
「宝箱をゲットし損なったのにゃ。」
「
なんて事を話しながらニャルマル商会に向かう。
「後を付けてくる奴等がいるな。」
俺の気配探知に反応した奴等がいた。
「『疾風』『風刃』とニャルマル商会の関係が知れると面倒だ。
ペロ、追って来れない様にして来て。
エリとハルカは隠蔽魔法は使える?」
「了解にゃ。」
「使えるのじゃ。」
「僕も使えるよ。」
「角を曲がったら、隠蔽してニャルマル商会に向かおう。ペロは影移動でついて来てね。」
「了解じゃ。」
「僕も了解。」
「了解にゃ。」
角を曲がった瞬間に俺は気配を消す。
エリとハルカは隠蔽魔法を発動。
ドラムも隠蔽魔法を発動していた。ペロは影に沈む。
ペロは追っ手の意識を一人一人刈り取っていく。
全員倒れた後、ペロは影に沈む。
俺達はニャルマル商会に入った後、隠蔽魔法を解除し、副商会長のシャルさんに面会を申し込むと、いつもの応接室に通された。
応接室でお菓子と紅茶を出されてシャルさんを待つ。
ハルカがお菓子をバクバク食べていた。俺はお菓子を一つ取ってドラムに食べさせた。
ペロが影移動で俺の影から現れる。
「追っ手は気絶させて来たにゃ。」
「ご苦労様。」
シャルさんが応接室に入って来た。
「お帰りなさいにゃ。『闇猫』の件はまだ、情報屋から報告はありませんにゃ。」
「そうですか。」
「鑑定防止の魔道具は出来上がりましたので、お渡しできますにゃ。」
「お、それは良かった。早速着けたいです。」
俺は残金を払って、鑑定防止の魔道具であるチョーカーを受け取り、身に着けた。
「エリ、どうだ?」
「問題無いのじゃ。鑑定できなくなっているのじゃ。」
シャルさんはその遣り取りを見ながら微笑む。
「それから、ご依頼の鉄の玉と使用済みの魔石もお持ちしますにゃ。」
シャルさんは店員を呼ぶと店員が4名、2人づつで大きな箱を2つ運んで来た。
一つの箱は鉄の玉。
もう一つは使用済みの魔石。
それを受け取り、料金を払うとアイテムバッグに収納した。
「最後にお知らせする情報がありますにゃ。」
なんだろう?
「農村イワンテでCランク冒険者と雑貨屋が行方不明になった事件があり、冒険者ギルドと闇ギルドが、重要参考人として魔抜けの子供を探していますにゃ。」
「ふ~ん。」
俺の事だな。
「魔抜けの少年がショータ様だとしても、魔抜けの少年が森を抜けて猫の王国に来れるとは誰も思いませんにゃ。
今は鑑定防止の魔道具もありますし、その高価な服を見て誰も魔抜けとは分から無いですにゃ。
但し、注意はした方が良いと思いますにゃ。」
シャルさんは農村イワンテの間抜けの少年が俺だと確信してるね。
取り敢えず大丈夫だと思うが注意しとけ、と言うことか。
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