第48話 ドラゴンを倒した?

迷宮『猫の穴』地下100階。

ボス部屋の前。


俺達は扉を開き中に入った。


ドラゴンがのっけから飛翔し炎のブレスを放ってきた。


深緑の体色。大きな口。

迫力がある眼光で睨んでいる。


慌てて竜型ガーゴイルは結界の盾で結界を張る。

炎のブレスは結界に当たり飛散した。


ハルカは俺の両肩を両足の鉤爪で掴み左に飛翔した。


ペロはハルカの影に潜む。


エリはガーゴイルに乗って右に飛ぶ。


ドラゴンは、自分の姿に似たガーゴイルを気にしてエリに向かう。


凄いスピード。一瞬で間を詰めると前足の爪でガーゴイルを襲う。


ガーゴイルは盾で爪を受け流し、炎の剣を振り払う。

ドラゴンの腕に当たるが傷一つ付かない。

エリはオリハルコンの矢をドラゴンの額に放つ。

オリハルコンの矢は額の鱗に弾かれる。


続けてドラゴンの目にオリハルコンの矢を放つ。

ドラゴンが目をつぶるとまぶたが矢を弾く。


その隙にエリはドラゴンの脇をすり抜け後方に逃げた。

「流石ドラゴン、オリハルコンの矢でも刺さら無いのぅ。」


ハルカは禍々しい杖を持ち風刃を間断無く放つ。


数百の風刃がドラゴンの背中に当たるが、風刃はドラゴンの鱗に当たる瞬間に消える。


「僕の風刃が全く効かないな。」


ドラゴンはハルカの方に振り向き大きな口を開けて、ハルカを噛み砕こうと近付いて行く。


ドラゴンの口の中にペロの闇槍が突き刺さる。

と思ったが、口の中に入る寸前で飛散した。

「魔法が効かないにゃ。」


ドラゴンはそのままハルカに迫る。

俺は魔弾をドラゴンの顔に放つ。


ドラゴン顔面で魔弾が破裂するが、ドラゴンは目を閉じるだけで、傷も付かない。


ハルカは杖の力で飛行速度が向上しており、ドラゴンが目を閉じた隙に高速でドラゴンを交わし上空に避けた。


俺は上空よりドラゴンの背に飛び乗って、生命力吸収ライフドレインを最大の力で発動した。


ドラゴンは急激に消失していく生命力に焦る。しかしまだまだ動ける様だ。


俺を背中から振り落とそうと身体全体を揺らし、回転し動き回る。


俺は右手に気を集めて、貫手ぬきてで4本の指をドラゴンの背に突き刺す。


そして右手でドラゴンの背中の鱗を掴み、握って振り落とされないようにしがみつく。


ドラゴンはビクッと身体を震わせる。


ドラゴンの鱗も突き刺す俺の気の力は凄いなぁ!

と自分ながら感心するよ。


ドラゴンの背中に突き刺した右手から最大限の生命力吸収ライフドレインを続ける。


ドラゴンの生命力は多い。

まだまだ時間がかかりそうだ。


ドラゴンは力を振り絞り暴れまわる。


俺は突き刺した右手の先に気を集めて、親指を除く4本の指先から気功波を放った。


気功波は4本の線となりドラゴンの身体を貫いた。


気功波で失った気は、ドラゴンから生命力吸収ライフドレインで直ぐに補充する。


ドラゴンは急激に力を失い、地面に落ちていった。


地面に俯せになり瀕死のドラゴンの背中を駆け上がり、頭に登る。


頭の天辺に掌を当てる。


「待ってくれぇ!」

弱々しいが部屋全体に響く声。


「ドラゴンが喋った?」


「そうだ、ドラゴンだ。儂はドラムと言う。殺さないでくれ。」


ペロが俺の影から隣に現れた。

ハルカとエリも恐る恐る近付いてきた。


エリが不思議そうに言う。

「迷宮の魔物は意志を持たないはず、何か訳がありそうじゃのぅ。」

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