第39話 トロルを倒した

迷宮『猫の穴』地下60階で中ボスのミノタウロスを倒した俺達は、61階から65階まで進む。


61階以降はミノタウロス、ケンタウロス、サテュロスが出現したが、今までと変わらず瞬殺。


レベ上げと素材採取の為、フロアの魔物達を全て倒しながら進むが、歩みは止めず、エリ曰く驚異的な速度らしい。


ハルカ曰く。

「僕は今までこんなに魔物を一気に倒した事ないよ。そしてレベルがこんなに上がるなんて信じられない。」


「冒険者はレベ上げしないのかい?」


エリが会話に混ざってきた。

「しないのぅ。冒険者はクエストを基準に活動するので、途中出来るだけ戦闘せず、クエスト対象である目的の魔物に備えるのじゃ。」


ハルカもエリの言葉に同意する。

「そうそう。僕も同じだよ。途中で戦って魔力や体力が充分じゃなくなったり、回復薬が切れたり、武器が壊れたり、怪我したりしたら、クエストに影響があるでしょ。」


「なる程ね。」


ペロは冒険者の行動に関心がない。

「強くなるからいいにゃ。」


「その点は僕も否はないよ。こんなに強くなれるなんて思わなかった。しかも、ほぼ魔力も体力も戦闘で使わないなんて、普通の冒険者はまず同じ事は出来ないね。」


「そうじゃな。妾も今まで生きてきた中で1番成長が早いのじゃ。」


なんて会話をしながら、魔物も倒し魔石や死骸も回収しながら歩みは止めず、65階のボス部屋まできた。


「今の冒険者が攻略してるのは65階らしいので、この部屋の中には冒険者達が倒せないボスがいるんだね。」


「どんな魔物かにゃ?」


俺はボス部屋の中を気配探知で探る。

「ボスはトロルだね。オーガを20体率いているな。」


「「「トロル!」」」

エリ、ハルカ、ペロは驚いている。


「トロルはそんなに強いのか?」


エリ曰く。

「トロルは緑の肌で無双の怪力を誇る巨人じゃ。厄介なのは、傷付けてもあっという間に治る超回復力と、腕を切り落としても生えてくる欠損再生のスキルじゃ。」


ハルカ曰く。

「僕も含めてCランクの冒険者では太刀打ち出来ないなぁ。食べられないしね。」


「いや、Bランクの妾でも無理じゃ。

だが、脅威の超回復と再生能力だけあって、その血液や皮膚は錬金術の素材としては非常に有用じゃ。

まれにトロルの腕が市場に出回ると高額で取引される。」


「それは是非、手に入れたいね。」


「え!倒す気なの?」

ハルカが信じられないって顔で俺を見る。


「勿論、倒すよ。俺とペロでトロルを倒すから、オーガは宜しくね。」


エリとハルカは気が進まなさそうに頷く。


ペロは俺に確認する。

「アタシの役目は拘束だよにゃ?」


「そうだよ。行くぞ!」


ボス部屋に入るとすぐ、ペロはトロルの後方に影移動し闇の触手で拘束。


俺は一瞬でトロル元に駆け寄り、跳躍しトロルの頭に飛び乗ると、頭の天辺に掌を当てて生命力吸収ライフドレインした。


最初はトロルも抵抗していたが、生命力を吸収されていく内、大人しくなり膝をつき、終いにはうつぶせで倒れた。


俺はトロルの頭から落ちないように移動しながら生命力吸収ライフドレインを続ける。


いつもより時間がかかったが数分でトロルの息の根を止めた。


振り返るとオーガ達はエリとハルカに倒されており、エリとハルカは目を見開き呆然と俺とトロルを眺めていた。


「トロルに圧勝するなんて信じられないのじゃ・・・。」

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