第22話 奴隷を買うことにした

ニャルマル商会の副商会長であるシャム猫のケット・シーのシャルさんと一緒にニャルマル商会の奴隷商に来た。


奴隷商の応接室に案内されてソファーに座っている。


「Dランク以上の冒険者資格が喪失していない奴隷は何人いるにゃ?」

シャルさんが奴隷商に聞いた。


奴隷商は黒いローブを羽織った、細面だが、怪しい雰囲気の男。

「現在は5人おります。」


「一人づつ連れてきてにゃ。」

「承知しました。」

シャルさんの指示で奴隷商は奥から一人づつ奴隷を連れてくる。


一人目はライオンの獣人の男。

体格が良いDランク冒険者。

大剣使いで身体強化の魔法を使う。

博打で身を崩し、借金返済出来ず奴隷落ちした。

何処にでもある話だ。

性格が悪そうだし、お金にだらしないのは厭だな。


似たような背景の奴隷が後二人続く。流石、冒険者だ。

戦闘力はそれなりにある。

妖精の魔法使いと犬獣人の探索者。


しかし冒険者って借金で身を崩す奴等が多いのかね。


シャルさんに聞いたら、「宵越しの金は持たねえ!」って儲けたら豪快に使う人が多く、貯金する様な堅実な人は少ないらしい。


4人目は車イスに乗って来たエルフの女。Bランク冒険者だ。


しかし、両手首の先と両足首の先が無い。

全てに絶望し、全てを憎んでいる目。

探る用に俺達を見てる。


顔半分に火傷の跡と斜めに走った刀傷。正常な部分を見ると昔は美人だった事がうかがえる。


ゴブリンの群れ討伐に失敗して、苗床にされたらしい。

その時に顔を切られた上、両手両足を切られた。


その後、助けられたが貴族の性奴隷として無理矢理・・・。


顔に火傷をおって、奴隷商に売られたらしい。


ランクは高いが現在の戦闘力は皆無。


エルフは精霊の腕輪を付ける事によって精霊と契約し精霊魔法を使う。


今は精霊の腕輪を付けてないが、精霊の腕輪を付けて、強い精霊と契約する事が出来れば戦力になる可能性はある。


しかし移動は困難だし、精霊契約は難しいので、売れないらしい。


最後の一人は飛べないハーピー。


背中の両翼が切られて無くなってる。

ハーピーは風魔法を使うが、翼がないと風魔法が使えなくなるらしい。


普通の人間と変わらない姿だが膝下が羽毛と鳥の足だ。3本の鉤爪。


服を脱ぐと背中に羽毛があるらしい。


Cランクの冒険者であるが、飛べないハーピーはプライドが崩壊し、脅えて悲しい目をしている。


彼女は捉えられ、翼を切られて、貴族の性奴隷として売られたが、貴族が没落し、また奴隷商に売られた。

彼女も絶望の中にいる様だ。


エルフもハーピーも瞳の奥に憎しみを抱える。


『魔抜け』と呼ばれて全てに絶望し、死ぬことだけ考えていた俺の過去のショータと重なる。

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