ロリコンドMの人形使いは幼女に顎で使われる！！

１幕：人形使いは途方に暮れる

　僕はそれなりに力のある貴族の末っ子として生まれた。

　それなりに大きな領地を任されていることで有名な父。

　それなり以上の美人で博識で知られることで有名な母。

　そしてそこそこ優秀なできる兄や姉たち。

　そんな中で何不自由ななく子供時代を過ごして来た。

　だけど誰も自分を可愛がってくれることはなかった。

　相手にしてくれるものはいなかったんだ。

　何人か優しくしてくれたメイドのお姉さんたちがいたのだが、彼女たちはすぐにいなくなってしまった。きっとどこかへ嫁いでいったのだろうと思う。

　結果、僕はいつも一人だった。

　原因は僕が魔術の才能が全くと言っていいほどなかったからだ。

　兄や姉たちのように上手く魔術を扱えなかった。

　魔力操作は問題なかったと思うんだけどね。

　でもそれだけだ。

　小さな火を出すことも、ちょっとした水を出すこともできなかったんだ。

　今思えば末っ子だということも幸いしたのだろう。

　それに世襲主義か能力主義かどちらを優遇したとしても僕にチャンスはなかったと思う。

　普通末っ子は可愛がられるって聞くんだけどね、、、

　おまけに体は小さく華奢だった。

　そして病弱だった。

　顔だけは母の血を大いに継いだのかとても整った顔をしていたのだがそれだけだ。

　父や母は兄や姉たちを大いに可愛がり、その兄や姉たちは僕を腫れ物を扱うかのように近づくことはなかった。

　屋敷の内外を含め全ての人がそれなりの距離でそれなりの対応だった。

　いつも一人だった。

　だから僕の遊び相手は幼いころにもらった騎士のぬいぐるみのホットルと魔法使いのぬいぐるみコルドルだった。

　貴族としての最低限の教養を専属の家庭教師のお姉さんに教わった後はいつも部屋でホットルとコルドルと一緒に遊んだものだ。

　だいたいは遠い国のお話がメインだったかな。

　昔、母にプレゼントしてもらった英雄物語。

　遠い異国のブラックシャドー。

　ーーなどなど

　僕が英雄やダークシャドー役で霧のホットルは魔物役、コルドルは小さな女の子役ばかりだったかな。

　来る日も来る日も同じような日々を過ごしていた時だったと思う。

　でも転機が訪れた。

　ある日、ホットルとコルドルが小さくお辞儀をしてくれたんだ。

　僕は本当に驚いた。

　そしてとても嬉しかった。

　だからあまりにも嬉しくてそのことを一番上の兄に教えたんだ。

　そこからだっただろう。

　家族の誰もが僕に冷たい目を向け始めた。

　そして聞こえないようにバカにし始めたのだ。

　でもそれだけでは終わらなかった。

　目すら合わせなくなったんだ。

　どうやら僕は家族としてすら認識してもらえなくなったらしい。

　さらにその日から数日後、僕はドア越しに父と母の話を聞いてしまった。

　それは成人となる１５歳の日、僕は貴族から一般の人間に落とされるという算段だった。

　つまり僕は貴族に預けられていた赤の他人ということになる。

　ただ今を思えばそこが僕の人生の変わり目だったと思う。

　それから僕は最低限に恵まれた環境を利用して体を鍛えた。

　勉強をした。

　使えない魔術も一通り頭に入れた。

　生活の仕方、生き方、サバイバル方から何から教えてもれることは全て家庭教師の元冒険者のお姉さんに教わったんだ。

　もちろん人形使いとしての能力も徹底的に磨くことにした。

　そりゃ必死だったさ。

　何せ僕の唯一の特技は人形を操ることだけだったのだから。

　そして剣の振り方や戦い方も教わった。

　結果、１５歳になる頃にはそれなりの腕を持った人形使いになることができた。

　僕が本気を出せば町の暴漢なんかあっという間だと自負していた。

　そして僕は予定よりも早く最低限の荷物とお金と二つの人形だけを持たされ家を追い出された。

　ただ世間を知らない僕は良い獲物だったんだと思う。

　すぐに騙されて無一文になり何もかも失った。

　残ったのは来ている衣服と二つの人形だけ。

　だから僕は知らない通りの真ん中で途方に暮れたんだ。

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●登場人物

シュガール：魔術が使えない人形使いの少年で元貴族。

にんじん太郎さん（https://kakuyomu.jp/users/ninjinmazui）により紹介動画を作成していただきました。

https://www.youtube.com/watch?v=2Cjy5Owlhf0

ぜひご覧ください。