雑記32:面白い小説を見分けるには冒頭3行を読めばわかる(前編)

最初に断っておきたいのですが、私が出来るのは面白い小説と面白くない小説を見分けるだけです。

この後の説明を読んでも決して、面白い小説を書ける技術を身に付けられる訳ではない事をご承知おきください。(これが分かったら私も天才文字書きになれるんだけどなぁ…(´ー`))

読む力と書く力は必ずイコールなわけではありません。見分ける事が出来ても自分の文章に活かせるかは別です。

なので、偉そうな事言っといてお前だってやってるじゃねぇか!という苦情は一切受け付けません。

(推敲時に見つけて自分でもダメージ食らってるので)ご了承ください。




お花見日和のある日。

散歩行った先でパンをかじっていた家族が、ふと私に言いました。

「面白い小説って何なん?」


家族は読書量は私より多けれど、物語小説については最近興味を持ち始めた新人です。

好きなものについて「それって面白いの?」って聞かれたオタクがどうなるか、皆さんもうお分かりでしょう。笑


そこからパンを食べ終わって、家に帰宅するまでの間ずっと、私は面白い小説とは何なのかについて家族に熱く語りました。

よく最後まで聞いてくれたものです。笑


その中で話した事で、これは上手い事言語化出来たんじゃないか?と思った部分もあったので記事に残しておく事にしました。

ただこれはあくまで私の個人的な見解なので、それに対して反論や意見があればそれはぜひ聞いてみたいと思っています。

なのでどうぞお気軽に、思った事があればコメントしてってくださいませ~。




まずもって、お花見中の話で一番最初に投げられた質問は以下のものでした。

「面白い小説ってどうやって見分ければいいの?」


これは恐らく、世の中に数多ある小説の中から面白い小説を引き当てる方法が家族には分からず、一体どの物語から読めばいいのかと途方に暮れて言った言葉かもしれません。

それに対し、私はこう答えました。


「そんなん冒頭3行見りゃ分かるやん」


家族は「解せない」という顔をしました。笑

私がどうやって見分けているか、ご説明しましょう。





タイトルにも書いてますが、私は冒頭3行で分かると思っています。

「面白い小説の特徴」というと多岐に渡ってしまい説明しづらいので、まず「面白くない小説の冒頭特徴」からずらっと紹介していきます。

大体この辺が面白くない小説の9割を占めているのでは?と思っています。


・長ったらしい世界観説明

・登場人物の詳細な外見描写

・ポエミーで状況の見えない心理描写


これらの特徴には共通している事があって、それは「客観性のなさ」です。


とかく創作者っていうのは、何かを作り始めるのに多大な熱量が必要です。

どうしても!これが!作りたいんだ!という熱いパッションから始まるわけですね。

となると物語を書き始めた当初は、あれもこれもそれも書きたい!私の考えたキャラは!世界観は!全部出力したい!って感じになるわけです。

その感情のままに物語を書き始めた場合、上記のような冒頭になる事が多いと思います。


でもある程度の期間、創作の場に身を置いている人なら分かってくれると思うんですが、小説において「無駄な箇所を削る」っていうのはとても大切な事です。

よく、第一稿が書き終わったら少し寝かせてから見直ししましょう、とかいう話を聞いた事があると思いますが、これは少しでも自分の小説に対して客観性を持つために時間を置いてるわけです。

そういった「客観性」というフィルターを通していない作品は、上記のような特徴で見分ける事が出来ます。


世界観説明で始まる小説が全部ダメだとは思いませんが、読んでて「いや、知らんがな」となる情報が並んでいるのが問題だと思うのです。

小説の一文字目を読む人は、その段階では作者の作る世界や登場人物に1ミリも興味がない、という事を念頭に置いておかないとこういう冒頭になると思います。


正直言って、Web小説であればこの冒頭の小説を除外するだけで8,9割の小説が削れます。

残った小説の中から興味の湧く小説を読んでいけば、少なくともある程度は楽しめるお話が読めると思います。




冒頭3行の話を家族にしたところ、こう言われました。

「たしかにそういう技術的なところは見分けやすいかもね。でもさ、ストーリーが面白いかどうかは冒頭だけじゃ分からなくない?」


たしかに。冒頭3行でストーリーの全容なんて分かりません。

それに対し、私はこう答えました。


「いや、ストーリーなんて何でもいいよ」



(長くなったので後編に続きます。)





----- 補足 -----


この記事を読んでもし、小説を書く気力を失ってしまった人がいたら言っておきたいのですが、この記事はあくまで読者側の私の視点でしか書いていません。

せっかく読むなら、読み終わった後に「傑作だった…!」とむせび泣く作品を探すにはどうすればいいかの観点でしか語っていないので、「私はこう書けないから駄目なんだ…読まれないんだ…全然だめだめだ…」という気持ちにさせたいのではない、という事は理解して頂きたいです。


自分の好きな物語を書ける、というのは実際に筆を取った創作者の特権です。

自分の空想上の世界にルールも規約もありません。

たった一人、自分を満足させるためだけに物語を作ってもいいのです。


そしてそうして作った作品が、自分以外の誰の心にも響かないというわけでもありません。

たまーに共感してくれる人が現われたりします。

それで十分ならそれで良いのです。

実際、私も『千里の道』は自分のために書いた物語だし、今読んでる『指輪物語』もトールキンさん自分用の物語なんじゃ?って思いながら読んでます。


小説は自由で楽しい、でも工夫しようと思えばいくらでも可能性のある奥深いものだ、という話をしようとしてるんだなと思ってもらえれば幸いです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る