地方予選の悲劇
高校野球、甲子園の地方予選が真っ盛りである。
元々人の多い東京で育ったせいもあるのか、それ程の強いこだわりがある訳ではなかったのだが、結婚して宮城県一筋のカミサンと結婚して一緒にいるようになると、彼女がこのイベントに並々ならぬ熱意を持って観戦、応援しているのを発見し、地方に行く程にこの傾向が強いのだろうな、というような事を感じるようになった。
ご存じの通り、未だに優勝旗は白河の関を超えることができずにいる。小さい頃母親に聞くと、「東北地方は寒くて、冬は雪が降るから練習できないんだよ。だから勝てないんじゃないのかな」という返事が返ってきて、子供心に納得したのを覚えている。
しかし、今や世界に名だたる大スター、大谷翔平さんも、今年完全試合を達成した佐々木朗希くんも、そしてちょっと忘れられ感があるけれど、元西武のエース菊池の雄星さんも、東北は岩手県の出身なのである。
東北に20年以上住んでいて感じることは、東北地方もやはり経済や人の流れは宮城県の仙台に集中してしまう傾向があり、これらの大スターを輩出している岩手県に関して言うなら、ちょっと寂しい感じが否めない。
多くのスター選手が他所の県に行き、甲子園を目指すという選択をする中、彼らは岩手県一筋で頑張って来た。これはとても素晴らしい事だと思う。
高校球児は、野球を始めた頃から甲子園出場を目指して頑張っているはずだ。暑い中、そして我ら東北勢は冬の寒い中、辛い練習だって、甲子園という大きな目標があるから頑張れるのだ。私だって中学に野球部があったなら入って、甲子園を目指していたかもしれない。
地元宮城県ではここ数年、悲しい状況が起こってしまっている。少し前は、甲子園出場を決めた学校が、選手のコロナ感染を理由に、甲子園の出場を辞退するという事態になってしまった。更に今年は、選手のコロナ感染で、予選のベスト4まで勝ち上がったものの、それ以降の試合を辞退するという状況が見られた。日本中に名前が知れ渡っている強豪校ではなく、久しぶりに勝ち上がってきた地方の高校だったので、知らせを聞いたときはとても悲しくなった。
甲子園に全てを懸けている選手達の思いを考えると、いたたまれない。仕方ないと言われればそれまでだけれど、彼らは子供の頃から甲子園を目指して頑張ってきているのだ。それが目の前にあって、もう少し頑張れば手の届くところに来たというところで、コロナによる出場辞退というのは、可哀想すぎるのである。
有名な強豪校が出場し、勝ち進むのが恒例になっているけれど、かなり前の徳島の池田高校のように、名前も知られていない地方のチームがあれよあれよと勝ち進み、優勝をさらっていくというような展開を久しぶりに見てみたいと思う。
全国の高校球児たち、そして地方の準々強豪の高校球児達よ、がんばれ。
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