低品質なコンテンツ

通販で買う

　誕生日のプレゼント、いい時計があって買ったから、これでいいよ。

　カミサンが嬉しそうな顔をして言う。

　もうすぐ誕生日の彼女だが、毎年何をプレゼントにあげたらいいのか、結婚後何年かは迷っていたが、ここ数年はこんな感じで、先方から好きな物を買ったから、と、代金の請求があり、その支払いがプレゼントとなっている。歳を取っていろいろな事が簡素化され、嬉しい限りだ。

　聞けば、探していた時計がインスタグラムの広告に出てきたので、そこで買ったのだという。どこにもなくて、Amazonにも楽天にもなかったものが、こんなところにあってビックリなのだそうだ。

　人のことを言っている場合じゃない。

　私も先日YouTubeを見ていたら、カメラの望遠レンズの広告が出てきて、思わずクリックした宣伝の動画に見入ってしまい、あれやこあれやという間に購入してしまった。

　同じような経緯で、かつてはドローンを買ったこともある。

　全く買う予定もないものを買う気にさせて、購入手続きをさせクレジットカードを切らせるのだから、この手の広告の力はたいしたものだ。Webマーケティングとか言って、私もそれなりにかじってはいるものの、かじられてしまっては全くもって話にもならない。

　その望遠レンズはスマホに装着すると、とてもいい写真が撮れるのだという。かつては数十万円出さなければ買うことができなかった望遠レンズの性能を持ち、低価格で、持ち歩きができ、スマホへの装着も簡単に行え、言うことがないのだそうだ。

　写真を撮ることは昔から好きだったが、望遠レンズには手を出さなかった。高くて買えなかったと言った方がいいだろうか。私の心のどこかに、望遠レンズで面白く、カッコイイ、誰も撮れないような写真を撮影したいという、自分でも本能しかわからない欲望があったのだ。

　その隠れた欲望を満たす、低価格で高性能な商品の力と、購入という行為までに私の心を持って行く広告の力は、たいしたものである。

　購入したところは海外のサイトで、必要事項を専用フォームに入力し、カードで決済した。ところが入力事項が上手く反映されておらず、昨日、住所確認のメールが来たので、正しい住所を書いて返信した。メールの文字はちょっとだけ崩れた日本語だったが、かなりのレベルの海外の方だった。

　望遠レンズを買うのははじめてである。どのような商品が届くのか、今から楽しみだ。簡単に持ち歩けるようなので、どこかへ出かけるときは持って行くことになるのだろうか。

　でも、落ち着いて考えてみれば、望遠機能など、殆ど使わないばかりか、スマホやデジカメのその機能で充分なような気もする。

　まあ、自分で納得して買ったのだから、不満はない。

　壊れずに、無事に届くことを祈るばかりである。

　こんなものを私に買わせた海外通販、恐るべしというところだろうか。