夜の闇

足音が夜の静寂に響く


響く


世界の中に ひとり


建物の影に入れば


街の灯りも 届かす


届かず


存在が影に溶けて


ひんやりと冷たい大気が


わたしの熱を奪って


奪って


心を凍てつかせていく



どこに優しさを忘れてしまったろう


いずこに勇気を置き去りにしただろうか



これは弱さではなく


卑怯ではないか


口先だけが達者で


中身は空しい音を立てて


立てて


わたしという悲しさに


ため息をつく




遠くで 回送列車の音


正気に戻って 


なぜここに一人いるのか


月なき空へ問うて



明日という今日が来た


せめて少しでも


体を休めて


休めて



優しさ朝の光を夢想し


闇の中へ溶けていく

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