第17話 悩める鈴木さんと金髪少女と先生 その7(全14話)
ソフィアさんが宿題をしている間に冷蔵庫から冷えたジュースとお茶を出して二人の前に差し出すと、二人とも一礼してから一気にのどに流し込んだ。
室内は若干涼しくなってきてはいるが、二人とものどが渇ていたみたいだ。
二人が水分補給している間に校庭を見ていると、先ほどまで一緒に教室にいた齋藤さんの姿を発見した。
グラウンドでは陸上部の他に野球部とサッカー部も活動しているようではあるが、さすがにこの暑さではいつもの感じで活動することは難しいのだろう、木陰や比較的風通しのよさそうな場所にみんな集まっていた。
そんな中でも他の部員と何度か走っていた齋藤さんも暑さに耐えられなくなったのか、ほかの部員たちが休んでいる木陰の方へと歩いて行った。
「あ、齋藤さんだ。やっぱり齋藤さんはスタイル良いからこの距離でもわかりますよね。私も陸上やってたらあんなにスレンダーになれたと思います?」
鈴木さんがいきなり話しかけてきたので多少驚いてしまったが、大人の余裕を見せることにしよう。
「齋藤さんは齋藤さんでスラっとしてるけど、鈴木さんは鈴木さんでクラスの他の女子にはない大人っぽさがあると思うよ。ソフィアさんは子供だけどね」
話の流れから自分も褒められると思っていたソフィアさんは子供のように怒ってしまった。
が、単純なソフィアさんはお菓子を食べだすと、きっと忘れているだろう。
「美波ちゃんは私より胸が大きいから大人っぽいっていうのはセクハラだと思います」
「先生って胸の大きさで女性の価値を決めるタイプの大人なんですか?」
「待って美波ちゃん。マサ君先生は巨乳のキャラ推しだったことが無いから違うかもしれないよ」
「そうなの?でも、リアルと現実の区別をつけることが出来るタイプの方かもしれないわね」
「私は今期のアニメはそんなに見ていなかったけど、マサ君先生の好きそうな女キャラはいなかったかもしれない」
「今まではどんなキャラが好きだったの?」
「うーん、今までの傾向だと眼鏡キャラはかなりの確率で推しになっていたと思うわ。あとは、スレンダーなタイプよりぷにぷにしている方が好きっぽいよ。背の高さはそんなに気にしていなかったかも。でも、最近は遊びに行っても部屋に入れてくれないから趣味が変わっているかもしれないのよね」
「夏休みにみんなで遊びに行った時も部屋に鍵をかけて入れなくしていたもんね。キッチンとリビングだけだったし。きっと何かとんでもないものを隠しているんだわ」
「私たちの担任が生徒に隠し事をするなんて何かやましいことがあるかもしれないわね。ソフィア探検隊を再結成しますか?」
「美波ちゃんはもちろんとして、ナナちゃんとアリスも呼ばなくちゃね」
「アリスちゃんは受験生じゃないの?」
「アリスは受験生だけど、うちの高校を希望しているので多分大丈夫よ。大会でも結構良い成績残してるみたいだし、私よりも頭がいいから大丈夫!!」
「アリスちゃんは勉強も運動も何でも出来るし、社交性も高いから落ちることはなさそうね。そうなるとナナが協力してくれるかどうかにかかってくるわね」
「ナナちゃんは秘密を探すのが好きなタイプだからきっと協力してくれるよ」
うん、二人で何やら盛り上がっているけど僕には関係ない話だろう。
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